日本電気協会

原子力規格委員会

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JEAG4601-2015
原子力発電所耐震設計技術指針

概 要

 基準地震動策定,地質・地盤調査,基礎地盤及び周辺斜面の安定性評価,並びに基準津波策定に関する事項をまとめたものである。本技術指針と「原子力発電所耐震設計技術規程」JEAC4601-2015を併用する場合には,両者の記載事項の関係について十分な吟味が必要である。

目 次

第1章 基準地震動策定
1.1 基本事項
 1.1.1 適用範囲
 1.1.2 用語の定義
 1.1.3 基本方針
 1.1.4 基準地震動Ssの策定位置
1.2 敷地ごとに震源を特定して策定する地震動
 1.2.1 敷地周辺で発生する地震に関する調査
  1.2.1.1 過去の地震
  1.2.1.2 活断層
  1.2.1.3 プレート間及び海洋プレート内で発生する地震
  1.2.1.4 敷地周辺の中・小・微小地震
  1.2.1.5 関連する地震の調査・研究
  1.2.1.6 その他の地球物理学的な知見
 1.2.2 検討用地震の選定
  1.2.2.1 内陸地殻内地震
  1.2.2.2 プレート間地震
  1.2.2.3 海洋プレート内地震
  1.2.2.4 その他の地震
 1.2.3 地震動評価
  1.2.3.1 敷地における地震動特性
  1.2.3.2 経験的な方法
  1.2.3.3 断層モデルを用いた方法
1.3 震源を特定せず策定する地震動
1.4 基準地震動Ssの策定
附属書1.1 経験的な方法に用いる手法の留意事項
参考文献
参考資料1.1 地震カタログ
参考資料1.2 マグニチュードの説明
参考資料1.3 気象庁震度階級及び気象庁震度階級関連解説表
参考資料1.4 海洋プレート内地震
参考資料1.5 2011年東北地方太平洋沖地震の地震動特性及び震源特性
参考資料1.6 関連する地震の調査・研究
参考資料1.7 地震地体構造マップ
参考資料1.8 地震発生層の設定について
参考資料1.9 地震基盤の考え方
参考資料1.10 既往の経験的な方法
参考資料1.11 震源のモデル化のための基礎的関係式
参考資料1.12 断層モデルを用いた地震動評価手法
参考資料1.13 震源を特定せず策定する地震動として用いる応答スペクトルのレベル
参考資料1.14 2004年留萌支庁南部の地震におけるK-NET港町観測点の基盤地震動
参考資料1.15 模擬地震波の作成例
参考資料1.16 2007年新潟県中越沖地震の震源特性について
参考資料1.17 震源極近傍における地震動の特徴について

第2章 地質・地盤調査
2.1 基本事項
2.1 基本事項
 2.1.1 適用範囲
 2.1.2 用語の定義
2.2 地質・地質構造に関する調査
 2.2.1 調査範囲の設定
 2.2.2 調査の方法
  2.2.2.1 文献調査
  2.2.2.2 変動地形学的調査
  2.2.2.3 地質調査
  2.2.2.4 海域調査
  2.2.2.5 地球物理学的調査
 2.2.3 調査結果に基づく評価
  2.2.3.1 地質及び地質構造
  2.2.3.2 震源として考慮する活断層
  2.2.3.3 地震活動に伴って永久変位が生じる断層及び地すべり面
 2.2.4 表示の様式
2.3 基礎地盤及び周辺斜面に関する調査
 2.3.1 調査範囲の設定
2.3.2 調査の方法
2.3.2.1 地表地質調査
2.3.2.2 ボーリング調査
2.3.2.3 試掘坑調査
2.3.2.4 弾性波探査
2.3.2.5 地下水に関する調査
2.3.2.6 原位置試験及び室内試験
2.3.3 調査結果に基づく評価
2.3.3.1 地質及び地質構造
2.3.3.2 地盤の分類
2.3.3.3 地盤の物性
2.3.4 表示の様式

第3章 基礎地盤及び周辺斜面の安定性評価
3.1 基本事項
3.1 基本事項
 3.1.1 適用範囲
 3.1.2 用語の定義
3.2 地震力に対する基礎地盤及び周辺斜面の安定性評価
 3.2.1 評価の手順
 3.2.2 基礎地盤及び周辺斜面のモデル化
  3.2.2.1 物性値の設定
  3.2.2.2 評価対象断面の選定
 3.2.3 すべり面の設定
3.2.4 動的解析(周波数応答解析)による安定性評価
  3.2.4.1 解析手法
  3.2.4.2 入力地震動
  3.2.4.3 評価基準
3.2.5 静的非線形解析等による安定性評価
  3.2.5.1 解析手法
  3.2.5.2 入力地震力
  3.2.5.3 評価基準
3.2.6 動的解析(時刻歴応答解析)等による安定性評価
  3.2.6.1 解析手法
  3.2.6.2 入力地震動
  3.2.6.3 評価基準
3.3 地殻変動に対する基礎地盤の安定性評価
 3.3.1 評価の手順
 3.3.2 評価基準
附属書 3.1 基礎地盤及び周辺斜面の安定性評価の流れ
附属書 3.2 地殻変動に対する基礎地盤の安定性評価の流れ
参考文献
参考資料 3.1 基礎地盤の安定性評価手順
参考資料 3.2 周辺斜面の安定性評価手順
参考資料 3.3 弱層のモデル化
参考資料 3.4 アンカー工を有する地震時安定性評価
参考資料 3.5 周辺斜面対策工を考慮した斜面の地震時安定性評価
参考資料 3.6 地盤安定性評価における減衰定数
参考資料 3.7 鉛直地震動入力を考慮した等価線形解析における地盤剛性,減衰定数の設定に関する留意点
参考資料 3.8 地盤物性値のばらつきの影響評価
参考資料 3.9 斜面崩落による土塊等の到達距離の事例
参考資料 3.10 斜面崩落による土塊等の到達距離の解析評価例
参考資料 3.11 基礎地盤及び周辺斜面の耐震安定性評価基準値
参考資料 3.12 ニューマーク法を用いた斜面の変位量評価例
参考資料 3.13 動的解析(時刻歴応答解析)を用いた斜面の変位に関する再現解析例
参考資料 3.14 盛土の被害程度と沈下量の目安
参考資料 3.15 食い違い弾性論を用いた過去の地震時の地盤変位量の再現事例
参考資料 3.16 地殻変動に対する基礎地盤の安定性評価フローの一例
参考資料 3.17 動力学的破壊進展モデル等を用いた断層変位評価例

第4章 基準津波策定
4.1 基本事項
4.1 基本事項
 4.1.1 適用範囲
 4.1.2 準用する基準類
 4.1.3 用語の定義
4.2 基本方針
4.3 基準津波Tsの策定及び入力津波の評価
 4.3.1 基準津波Tsの策定に係る調査
4.3.1.1 既往津波の調査
4.3.1.2 津波の発生要因に関する調査
 4.3.2 津波発生要因の選定
 4.3.3 想定する津波波源の設定
  4.3.3.1 プレート間地震に起因する津波波源の設定
  4.3.3.2 海洋プレート内地震に起因する津波波源の設定
  4.3.3.3 海域の活断層に起因する津波波源の設定
  4.3.3.4 地すべり等に起因する津波波源の設定
  4.3.3.5 火山現象に起因する津波波源の設定
 4.3.4 津波評価手法
  4.3.4.1 数値計算の方法
  4.3.4.2 既往津波の検討による数値計算モデルの妥当性確認
 4.3.5 津波波源のモデル化に係る不確定性の検討
 4.3.6 想定津波からの基準津波Tsの選定
 4.3.7 基準津波Tsの選定結果の検証及び入力津波の評価
 4.3.8 その他
4.4 超過確率の参照
附属書4.1 基準津波Ts策定~入力津波評価の流れ
参考文献

巻頭言

  原子力発電所の耐震設計技術については,本指針,JEAG4601が1970年版として出版されて,その筋書きができた。その後,「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(昭和56年7月20日 原子力安全委員会決定)」(以下,「耐震審査指針(1981)」という)を踏まえて,「原子力発電所耐震設計技術指針 許容応力・重要度分類編」(JEAG4601-1984),「原子力発電所耐震設計技術指針」(JEAG4601-1987),「原子力発電所耐震設計技術指針追補版」(JEAG4601-1991)が発刊された。
 耐震審査指針(1981)は,1995年兵庫県南部地震の経験に基づき耐震技術に関する最新の知見を取り入れて,「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(平成18年9月19日 原子力安全委員会決定)」(以下,「耐震審査指針(2006)」という)として改訂された。この耐震審査指針(2006)の改訂を受け,諸般の作業の進行の便宜のため,基準地震動の策定並びに地質調査について,それらの関連分野の最新の知見を取り入れて,「原子力発電所耐震設計技術指針 基準地震動策定・地質調査編」(JEAG4601-2007)として先行発刊された。その後,「基礎地盤及び周辺斜面の安定性評価」と「津波水位評価」をこれに加えて,「原子力発電所耐震設計技術指針」(JEAG4601-2008)が改定発刊された。(JEAG4601-2008の改定発刊に伴い,JEAG4601-2007は廃刊された。)
 一方「原子力発電所耐震設計技術指針 許容応力・重要度分類編」(JEAG4601-1984), 「原子力発電所耐震設計技術指針」(JEAG4601-1987),「原子力発電所耐震設計技術指針追補版」 (JEAG4601-1991)を一本化し,「原子力発電所耐震設計技術規程」(JEAC4601-2008)として新たに制定した。
JEAG4601-2008の改定に当たっては,耐震審査指針(2006)を踏まえ,最新知見を取り入れた指針としての改定作業を進めてきたが,作業途中で発生した2007年新潟県中越沖地震などの知見については,この改定版では取り纏められるには至らなかった。
 その後,2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波によって,東京電力㈱福島第一原子力発電所が被災したのを契機に,原子力規制委員会が発足し,事故の反省や国内外の指摘を反映して「原子炉等規制法」等が改正された。(以下,「新規制基準」という)
 本協会では,新規制基準との整合や2007年新潟県中越沖地震及び2011年東北地方太平洋沖地震から得られた知見等を反映して,この度「原子力発電所耐震設計技術指針」(JEAG4601-2015)として改定し,発刊することとした。本指針はともに改定された「原子力発電所耐震設計技術規程」(JEAC4601-2015)と一体で運用されるものであり,両者の記載事項の関係について十分な理解が必要である。
 なお,新規制基準に係る適合性審査は,現在も継続して実施されているところであり,その審査の過程で示される知見については,継続的な取り組みによる新たな研究成果と併せて今後も引続き知見の収集に努め,反映が必要な事項を整理していく。
 言うまでも無く,耐震設計の適否は,実際の地震に遭遇してはじめて,明確になるものであるが,本技術指針はその基本を示すもので,その解釈,運用については,使用者の格段の配慮を期待するものである。
 最後に,検討及び審議に参加してご協力いただいた関係各委員の方々及び関係諸機関の方々,そして特にご尽力いただいた原案作成者,検討会幹事の方々に厚くお礼申し上げる。

平成27年5月

原子力規格委員会
耐震設計分科会
分科会長 原 文雄

改定履歴
制  定
平成19年9月5日
第1回改定
平成20年12月19日
第2回改定
平成27年5月11日
正誤表
公衆審査
JEAG4601-2015
期間:平成27年3月12日
    〜平成27年5月11日
結果:資料請求者0名
意見送付者0名
質疑・意見対応
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