日本電気協会

原子力規格委員会

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JEAG4607-2021
原子力発電所の火災防護指針

概 要

 本指針は,JEAC4626「原子力発電所の火災防護規程」の要求事項を理解するために有用なもの,要求事項を達成するための例示,推奨事項等を記載している。

目 次

1. 総 則
1.1 一般
1.2 適用範囲
1.3 関連法規
1.4 用語の定義

2. 火災発生の防止
2. 火災防護の基本事項
2.1 火災防護を行う機器等の選定
2.2 火災防護対象機器の選定
2.3 火災区域及び火災区画の設定

3. 火災発生の防止
3.1 不燃性,難燃性材料の使用
3.1.1 不燃性,難燃性材料
3.1.1.1 不燃性材料,難燃性材料
3.1.1.2 代替材料
3.1.1.3 不燃性材料,難燃性材料及び代替材料が使用できない場合の措置
3.2 発火性,引火性物質の対策
3.2.1 発火性又は引火性液体の対策
3.2.1.1 漏えい防止策
3.2.1.2 漏えいの拡大防止
3.2.1.3 配置上の考慮
3.2.1.4 換 気
3.2.1.5 防 爆
3.2.1.6 貯 蔵(集積)
3.2.2 発火性又は引火性気体の対策
3.2.2.1 漏えい防止策
3.2.2.2 配置上の考慮
3.2.2.3 換 気
3.2.2.4 防 爆
3.2.2.5 貯 蔵(集積)
3.2.2.6 放射線分解に伴う水素の対策
3.2.3 発火性又は引火性固体の対策
3.2.3.1 配置上の考慮
3.2.3.2 貯 蔵(集積)
3.3 可燃性の蒸気又は微粉の滞留防止の対策
3.3.1 換 気
3.3.2 静電気の除去
3.4 発火源となる設備の対策
3.5 電気設備の過電流による過熱防止の対策
3.6 自然現象による火災発生防止
3.6.1 避雷設備
3.6.2 耐震設計

4. 火災の感知及び消火
4.1 火災検出装置及び消火装置
4.1 火災感知設備及び消火設備
4.1.1 火災感知設備
4.1.1.1 火災感知器設置対象区域
4.1.1.2 火災感知器設置要領
4.1.1.3 火災感知設備の電源
4.1.1.4 受信機等
4.1.2 消火設備
4.1.2.1 消火設備と設置対象区域
4.1.2.2 消火設備設置要領
4.1.2.3 消火用水供給系
4.1.3 機器類の規格
4.1.4 その他
4.2 消火設備の破損・誤動作及び誤操作対策
4.2.1 地震時の破損対策
4.2.2 誤動作及び誤操作対策
4.3 自然現象に対する火災感知設備及び消火設備の性能維持
4.3.1 耐震設計
4.3.2 凍結防止
4.3.3 台 風

5. 火災の影響の軽減
5.1 火災の影響の軽減
5.2 軽減対策
5.3 原子炉の安全確保

6. 個別の火災区域又は火災区画における留意事項

図表

巻頭言

 我が国においては,1965年6月「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令」(通商産業省令第62号)が制定され,原子力発電所の火災防護対策に関し,1975年12月に同省令に第4条の2「火災による損傷の防止」を追加し公布されました。その後,1977年6月「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」に設計上考慮すべき事項が追加された後,1980年11月「発電用軽水型原子炉施設の火災防護に関する審査指針」が定められ,国としての規制体系が整備されました。そして(社)日本電気協会は,通商産業省から,より定量的かつ具体的な火災防護の設計・評価のための指針を整備するように調査・検討を依頼され,原子力専門委員会(現原子力規格委員会)安全設計分科会の下に火災防護検討会を設置して検討を行い,1985年に「原子力発電所の火災防護指針」(JEAG4607)(初版)を制定しました。
その後,1990年8月に原子力安全委員会は,「発電用軽水型原子炉施設の火災防護に関する審査指針」を改訂し,1992年にはIAEA安全指針「原子力発電所の火災防護」が改訂されました。本協会は,内外での状況変化や技術進歩に対応するためJEAG4607の内容を見直し,1999年にJEAG4607-1999を発行しました。
一方で,原子力安全・保安院は,国内原子力発電所の安全審査に用いる技術基準として学協会規格を活用するため,2005年12月に「安全設計分野及び放射線管理分野における日本電気協会規格に関する技術評価書」を取りまとめました。その技術評価書で「原子力発電所の火災防護指針」(JEAG4607-1999)は,技術基準として是認(エンドース)され,その適用に当たっての条件と課題が示されました。
2007年7月16日の新潟県中越沖地震では,原子力発電所の屋外変圧器が地震による損傷で油火災が発生しました。この事態を重視して,2007年12月に「発電用軽水型原子炉施設の火災防護に関する審査指針」の一部改訂,2008年6月に「原子炉施設を設置した工場又は事業所における初期消火活動のための体制の整備に関する規程の解釈(内規)」が制定され,2008年10月には「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令の解釈について」が一部改正されました。
このような新潟県中越沖地震後の,国の規制機関による火災防護対策強化への動きを受けて,本協会におけるJEACとJEAGの定義を踏まえて,2010年3月に,JEACとJEAGの2本立てとして制定,改定しました。本原子力発電所の火災防護に関わる規程JEACと本指針JEAGの2本立ての構成については,目次の前にページを設けて説明しておりますので参照下さい。
本指針においては,原子力発電事業者の各発電所の設備の配置状況等が同一ではないことから火災防護の具体的な対策は必ずしも一つに限定されるものばかりではなく選択肢を持ちうること,海外規格等の知見のうち国内規格として取り込むことが望ましいものもあることから,JEACとして整理された要求事項を達成するため原子力発電事業者が,各発電所の特質,状況に応じて選択肢を持ちうるものについて具体的な対策を適切に選択できるように,JEAGとして改定しています。
その後,東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)に伴う福島第一原発事故を契機とした新規制基準下で,2013年6月に「実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係る審査基準」が制定され,火災発生防止,火災の感知・消火,火災の影響軽減の各火災防護の3方策を独立して要求する等,原子炉施設の火災防護に関する要求が高まりました。今回の改定では,この具体的な要求事項と,原子力発電所での実際の適合状況を反映しました。
制定された審査基準を踏まえた改定作業は,2018年1月の検討開始から火災防護検討会,安全設計分科会,原子力規格委員会の各段階で貴重なご意見・議論の反復を重ね約3年半の歳月を要しました。
原子力の安全には終わりはなく,火災防護においても,基準で求められるものに留まることなく,常により高いレベルを目指し続けていく必要があります。また,設計と運用の両者が両輪となって機能することが重要です。本協会においては,今後も火災防護対策のハードとソフト両面での改善に資するべく,本指針の継続的検討を進めていく所存です。
最後に,本指針の改定に当たって,関係官庁,電力会社,メーカー並びに委員の方々に絶大なご助力を賜りました。ここに関係各位に深く感謝する次第であります。

2021年9月

原子力規格委員会
安全設計分科会
分科会長 古田一雄

改定履歴
制  定
1985年10月31日
第1回改定
1999年5月28日
第2回改定
2010年3月15日
第3回改定
2021年9月15日
正誤表
公衆審査
JEAG4607-2021
期間:2021年7月16日
    〜2021年9月15日
結果:資料請求者0名
意見送付者0名
質疑・意見対応
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