日本電気協会

原子力規格委員会

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JEAG4613-1998
原子力発電所配管破損防護設計技術指針

概 要

 軽水型原子力発電所の原子炉冷却材圧力バウンダリに属するオーステナイト系ステンレス鋼管に想定される配管破損に関して,安全機能を有する構築物,系統および機器を防護するための設計についてその基本方針・方法等について規定している。

目 次

第1章総則
 1.1目的
 1.2適用範囲
 1.3用語の定義

第2章防護設計の基本方針
 2.1基本的な考え方
 2.2防護対象

第3章防護設計の方法
 3.1概要
 3.2配管破損想定位置
 3.3配管破損形式及び開口面積
 3.4配管破損時に考慮すべき事象
 3.5防護設計の実施
 3.6防護対象及び防護構築物の強度評価

解  説
解説1-1 「配管破損防護設計の目的」
解説1-2 「適用範囲」
解説2-1 「防護設計の考え方」
解説2-2 「防護対象」
解説3-1 「配管破損想定位置」
解説3-2 「配管破損形式及び開口面積」
解説3-3 「破損時考慮すべき事象の評価方法」
解説3-4 「強度評価」

付録LBBの成立性評価
 1.LBBについて
 1.1 LBB概念
 1.2 配管破損防護設計へのLBB概念の適用
2.LBB概念適用の考え方
 2.1 LBB概念適用の前提条件
  2.1.1 運転管理面
  2.1.2 構造健全性
3.LBBの成立性評価方法
 3.1 評価のシナリオ
  3.1.1 概要
  3.1.2 評価条件設定の基本的な考え方
 3.2 評価方法
  3.2.1 き裂進展解析
  3.2.2 想定き裂
  3.2.3 き裂安定性解析
  3.2.4 冷却材のジェット力を算出するための想定き裂開口面積

付録解説
 付・解説3-1 応力サイクルの簡略化について
 付・解説3-2 き裂進展解析に使用する曲げ応力と膜応力の比
 付・解説3-3 き裂進展解析用地震動について
 付・解説3-4 き裂進展解析で使用するき裂進展速度について
 付・解説3-5 き裂安定性解析で考慮する地震動について
 付・解説3-6 実断面応力基準によるき裂付き配管の破壊評価

参考資料
 参考資料1 貫通時のき裂形状について
 参考資料2 用語一覧

巻頭言

 軽水型原子力発電所は,安全設計の観点から「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」の「指針4.内部発生飛来物に対する設計上の考慮」及び昭和40年通商産業省令第62号「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令」の第16条の2「原子炉冷却材圧力バウンダリ」において,想定される配管破断に伴う動的影響から安全機能を有する設備を防護するための対策を講じることが要求されており,これに適合するための配管破損防護設計が行われています。
 配管破断に対する防護設計の方針を決定するには,配管の破損の形態(「破断」または「漏えい」)としてどのようなものを想定するかを決める必要があり,従来は配管の瞬時破断を想定した設計が行われていましたが,近年の破壊力学の進歩等により延性に富んだ材料の配管では瞬時破断は極めて起こりにくいことが定量的に評価されるようになり,適切な設計対策や漏えい検知等の運転管理がなされているという前提のもとでは,いわゆる破断前漏えい(以下「LBB」という)概念が十分確認されるようになってきたため,平成4年3月,原子力安全委員会において,配管破損防護設計を行うに当たり想定する配管の破損の形態の決定にLBB概念を適用することが了承されています。
 これを契機として,LBB概念を導入した配管破損防護設計の民間技術指針の制定を求める声が高まり,日本電気協会では,このような声に対応するため,機器・配管設計検討会を設置し技術指針の作成作業に取り組んできました。
 本指針は,従来から実施されてきた配管破損防護設計の全般的な技術的事項を整理した指針であるとともに,想定する破損形態をLBB概念を適用して決定する設計要領を示したものです。今後,本指針を利用される皆様の率直なご批評とご助言により,さらに追補と改訂に努めたいと念じております。
 最後に,本指針の制定に当たり絶大なご助言を賜りました学識経験者,関係官庁,電力会社,メーカー並びに委員の方々等関係各位に深く感謝する次第であります。

平成10年12月

原子力専門部会
構造分科会
分科会長 安藤良夫

改定履歴
制  定
平成10年5月26日
正誤表
質疑・意見対応
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