日本電気協会

原子力規格委員会

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JEAG4623-2008
原子力発電所の安全系電気・計装品の耐環境性能の検証に関する指針

概 要

 原子力発電所の安全性を確保するためには,適切な耐環境性能を有する設備を設置し,環境条件が著しく劣化する事象が発生しても,その性能を維持し機能が脅かされることのないようにしておく必要がある。本指針は,設計基準事象の環境条件においても,安全系電気・計装品が期待される安全機能を発揮し,維持できることを検証する上で,考慮すべき事項及び推奨される手法を示している。

目 次

1. 目 的
2. 本指針の適用範囲(対象設備)
3. 関連法規,規格
4. 用語の定義
5. 検証計画
5.1 検証寿命の設定
5.2 検証対象事象
6. 検証手法
6.1 型式試験
6.2 使用実績
6.3 解 析
7. 検証要領
7.1 型式試験
7.1.1 試験体
7.1.2 試験計画
7.1.3 試験手順
7.1.4 初期機能試験
7.1.5 劣化処理
7.1.6 事故時環境試験
7.1.7 最終機能試験
7.2 使用実績
7.3 解 析
8. 検証寿命の再評価
9. 検証対象設備等の変更

解 説

巻頭言

 原子力発電所の安全性を確保するためには,適切な耐環境性能を有する設備を設置し,例え環境条件が著しく悪化する事象が発生したとしても,その性能を維持して,安全系の電気・計装品の機能が脅かされることのないようにしておく必要があります。
 我が国には,耐環境性能に関する指針として,「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」(平成2年改訂)に,安全機能を有する設備に対する環境条件への適合設計が要求されており,耐環境性能が要求される対象設備に関するガイドラインとして,「安全機能を有する計測制御装置の設計指針」(JEAG4611-1991)等があります。
 しかし,我が国にはこれまで,耐環境性能に関する検証手法をとりまとめた民間指針が存在せず,IEEE(米国電気・電子学会)規格等を参考にした型式試験による検証が実施されていました。このたび,日本電気協会は,原子力安全・保安院から民間規格の整備に関する依頼を受けて,原子力規格委員会の下部組織である安全設計分科会の下に「電気・計装品耐環境性能検討会」を設置し,調査及び検討を行いました。
 調査においては,IEEE規格やIEC(国際電気標準委員会)規格の要求事項の他,国内の型式試験で得られた知見を確認しました。その結果,原子力発電所の電気・計装品の耐環境性能の全般的な検証手法を示したIEEE Std.323-2003"IEEE Standard for Qualifying Class IE Equipment for Nuclear Power Generating Stations"を参考にして,他に機器共通に適用できる事項を他のIEEE規格等から抽出し組み合わせることが,耐環境性能を検証する手法として適切かつ有効と考え,これらを検証上考慮すべき事項及び推奨される方法として本指針をとりまとめました。
 この指針は,安全系電気・計装品を原子力発電所に供給する製造者において,開発検証手法のガイドとして使用される他,電気事業者においても,安全系電気・計装品の調達管理として適切な方法で製品が検証されていることを確認し,原子力プラントの高経年評価等で適切な検証が行われている設備であることを示すために使用されることが望まれます。
 本指針の制定にあたって,関係官庁,電力会社,メーカ並びに委員の方々に絶大なご助力を賜りました。ここに関係各位に深く感謝する次第であります。

平成20年12月

原子力規格委員会
安全設計分科会
分科会長 吉川榮和

改定履歴
制  定
平成20年12月19日
正誤表
公衆審査
JEAG4623-2008
期間:平成20年9月12日
    〜平成20年11月11日
結果:資料請求者1名
意見送付者0名
質疑・意見対応
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