日本電気協会

原子力規格委員会

サイトトップ

JEAC4626-2010
原子力発電所の火災防護規程

概 要

本規程は,原子力発電所において,火災の発生,延焼等の影響を受けることにより,原子炉の安全性を損なうことのないよう,適切な防護措置を施すために,設計上考慮する事項について規定している。
 JEAG4607-1999「原子力発電所の火災防護指針」の改定にあたり,新潟県中越沖地震以降の火災防護に対する多岐にわたる要求事項を明確化することを目的に,JEAC4626「原子力発電所の火災防護規程」としてとりまとめた。

目 次

1. 総 則
1.1 一般
1.2 適用範囲
1.3 関連法規
1.4 用語の定義

2. 火災発生の防止
2.1 不燃性,難燃性材料の使用
2.1.1 不燃性,難燃性材料
2.2 発火性,引火性材料の予防措置
2.2.1 発火性又は引火性液体の対策
2.2.1.1 漏えい防止策
2.2.1.2 漏えいの拡大防止
2.2.1.3 配置上の考慮
2.2.1.4 換 気
2.2.1.5 防 爆
2.2.1.6 貯 蔵(集積)
2.2.2 発火性又は引火性気体の対策
2.2.2.1 漏えい防止策
2.2.2.2 配置上の考慮
2.2.2.3 換 気
2.2.2.4 防 爆
2.2.2.5 貯 蔵(集積)
2.2.2.6 放射線分解に伴う水素の対策
2.2.3 発火性又は引火性固体の対策
2.2.3.1 配置上の考慮
2.2.3.2 貯 蔵(集積)
2.3 電気設備の過電流による過熱防止策
2.4 自然現象による火災発生防止
2.4.1 避雷設備
2.4.2 耐震設計

3. 火災の検知及び消火
3.1 火災検出装置及び消火装置
3.1.1 火災検出装置
3.1.1.1 火災感知器設置対象区域
3.1.1.2 火災感知器設置要領
3.1.1.3 火災検出装置の電源
3.1.1.4 受信機等
3.1.2 消火装置
3.1.2.1 消火装置と設置対象区域
3.1.2.2 消火装置設置要領
3.1.2.3 消火用水供給系
3.1.3 機器類の規格
3.1.4 その他
3.2 消火装置の破損・誤動作及び誤操作対策
3.2.1 破損対策
3.2.2 誤動作及び誤操作対策
3.3 自然現象に対する火災検出装置及び消火装置の性能維持
3.3.1 耐震設計
3.3.2 凍結防止
3.3.3 台 風

4. 火災の影響の軽減
4.1 火災の影響の軽減
4.1.1 想定火災の考え方
4.1.2 軽減対策
4.2 原子炉の安全確保

解 説
1. 総 則
1−1 一 般
1−2 新潟県中越沖地震
1−3 発電用原子力設備
2. 火災発生の防止
2−1 難燃性ケーブル
2−2 建 屋 内
2−3 発火性又は引火性材料
2−4 適切な配置
2−5 放射線分解に伴う水素の対策
3. 火災の検知及び消火
3−1 プラントを停止するために必要な系統及び機器
3−2 放射性物質の制御されない放出防止をするために火災の悪影響から防護することが必要な系統及び機器
3−3 火災感知器の設置が不適当な場合
3−4 固定式消火装置
3−5 化学消防自動車
3−6 十分な泡消火薬剤の量及び貯水量
3−7 ハロゲン化物消火設備・機器の使用抑制
3−8 初期消火に十分対応できる容量
3−9 地震時においても大きな被害を受けることのない場所
3−10 複数同時火災の発生に留意
3−11 耐震強度や耐震構造の考慮
3−12 格納施設等
3−13 防災拠点施設に求められる程度の耐震性
4. 火災の影響の軽減
4−1 それらの重要度
4−2 ケーブル火災の影響態様
4−3 盤火災の影響態様
4−4 火災影響態様
4−5 耐火壁
4−6 煙を処理できる設計
4−7 火災に関連した爆発の潜在的可能性の排除
4−8 原子炉の安全確保

巻頭言

 我が国においては,昭和40年6月「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令」(通商産業省令第62号)が制定され,原子力発電所の火災防護対策に関し,昭和50年12月に同省令に第4条の2「火災による損傷の防止」を追加し公布されました。その後,昭和52年6月「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」に設計上考慮すべき事項が追加された後,昭和55年11月「発電用軽水型原子炉施設の火災防護に関する審査指針」が定められて,昭和50年代に国としての規制体系が整備されました。そして(社)日本電気協会は,通商産業省から,より定量的かつ具体的な火災防護の設計・評価のための指針を整備するように調査・検討を依頼され,原子力専門委員会(現原子力規格委員会)安全設計分科会の下に火災防護検討会を設置して検討を行い,昭和60年に「原子力発電所の火災防護指針」(JEAG4607)(初版)を制定しました。
 その後,平成2年8月に原子力安全委員会は,「発電用軽水型原子炉施設の火災防護に関する審査指針」を改訂し,一方,平成4年にはIAEA安全指針「原子力発電所の火災防護」が改訂されました。本協会は,内外での状況変化や技術進歩に対応するためJEAG4607の内容を見直し,平成11年にその改定版JEAG4607-1999を発行しました。
 国内原子力発電所では,この指針に基づき火災防護設計を行っていましたが,原子力安全・保安院は,国内原子力発電所の安全審査に用いる技術基準として学協会規格を活用するため,平成17年12月に「安全設計分野及び放射線管理分野における日本電気協会規格に関する技術評価書」を取りまとめました。その技術評価書で「原子力発電所の火災防護指針」(JEAG4607-1999)は,技術基準として是認(エンドース)されましたが,その適用に当たっての条件と課題が示されました。そこで火災防護検討会では,技術評価書の内容を踏まえてJEAC(電気技術規程)を新たに制定することを視野に入れてJEAG4607-1999の改定作業に着手しました。
 平成19年7月16日の新潟県中越沖地震では,原子力発電所の屋外変圧器が地震による損傷で油火災が発生しました。この事態を重視して原子力安全委員会は,「発電用軽水型原子炉施設の火災防護に関する審査指針」を平成19年12月27日に一部改訂しました。そこでは,現行の火災防護審査指針の,火災の発生防止,早期検知及び消火並びに火災の影響の軽減という3つの方策を適切に組み合わせて,原子炉の安全性が損なわれることを防止する基本的な考え方は妥当だったが,(1)大規模な地震による火災発生が国民に大きな不安を与えたこと,(2)大規模な地震時の現場対応が,原子炉の安全を確保しつつ同時に消火活動を行うことの実際上の困難さを浮き彫りにしたこと,そして(3)現行の火災防護審査指針は大規模な地震を想定した要求事項を明記していなかったことを反省して,世界有数の地震国である我が国では,今回の地震から学ぶべきものは学び,地震時の原子力発電所の火災防護に万全を期す,という学習的姿勢に則した改訂が行われました。
 一方,総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会では,「中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会」を設置して,新潟県中越沖地震の具体的な影響について事実関係の調査を行うとともに,当該地震を踏まえた国及び事業者の今後の課題と対応についてとりまとめ,原子力施設における自衛消防及び情報連絡・提供にかかる課題と今後の対応について「中越沖地震における原子力施設に関する自衛消防及び情報連絡・提供に関するワーキンググループ」報告書を平成20年2月にとりまとめました。さらに,平成20年6月に「原子炉施設を設置した工場又は事業所における初期消火活動のための体制の整備に関する規程の解釈(内規)」が制定され,平成20年10月に「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令の解釈について」が一部改正されました。
 以上のような新潟県中越沖地震後の,国の規制機関による火災防護対策強化への動きを受けて,元来JEACとして制定することを視野に入れて「原子力発電所の火災防護指針」(JEAG4607-1999)の改定に着手していた火災防護検討会では,新潟県中越沖地震による反映事項が指針全体にわたることから,本協会におけるJEACとJEAGの定義を踏まえて,JEACとして新たに制定する部分と,従来のJEAGを改定する部分の,JEACとJEAGの2本立てで,改定作業を平成20年2月から進めてきました。本原子力発電所の火災防護に関わる本規程JEACと指針JEAGの2本立ての構成については,目次の前にページを設けて説明しておりますので参照下さい。
 本規程においては,国の火災防護に対する規制上の多岐にわたる要求事項を原子力発電事業者の観点から明確化することを目的にJEACとして新たに制定しました。
 今回の新潟県中越沖地震を踏まえた制改定作業は,平成20年2月の検討開始から火災防護検討会,安全設計分科会,原子力規格委員会の各段階で貴重なご意見・議論の反復を重ね約2年の歳月を要しました。また公衆審査におきましても,非常に多くの貴重なご意見をいただき,火災防護対策に対する社会一般の関心の大きさを感じることができました。原子力発電所の火災防護は,設計のみあるいは運用のみで達成できるものではなく,両者がバランスを持って両輪となって機能することが重要です。本協会においては,今後も火災防護対策のハードとソフト両面での改善に資するべく,本規程の継続的検討を進めていく所存です。
 最後に,本規程の制定に当たって,関係官庁,電力会社,メーカー並びに委員の方々に絶大なご助力を賜りました。ここに関係各位に深く感謝する次第であります。

平成22年3月

原子力規格委員会
安全設計分科会
分科会長 吉川榮和

改定履歴
制  定
平成22年3月15日
正誤表
公衆審査
JEAC4626-2010
期間:平成21年9月16日
    〜平成21年11月15日
結果:資料請求者3名
質疑・意見対応
ページのトップへ