原子力安全の取組の明確化を図る観点から,要求事項の中で「製品」を「業務」について,「業務・原子力施設」に修正しました。
世界最高水準の安全を達成するために,「安全のためのリーダーシップ」,「安全文化の継続的改善」及び「安全文化及び安全のためのリーダーシップに対するアセスメント」について,推奨事項としてまとめました。
また,国の品質保証に関する技術基準を本規程の要求事項に反映しました。
0.序 論
0.1 基本的考え方
0.1.1 品質保証と原子力安全のためのマネジメントシステム
0.1.2 原子力安全のためのマネジメントシステムモデル
0.2 本規程における記載事項の構成
0.2.1 要求事項
0.2.2 推奨事項
0.2.3 注 記
0.2.4 解 説
0.2.5 年号の記載
0.3 引用規格及び参考文献
0.3.1 引用規格
0.3.2 参考文献
1.目 的
2.適用範囲
3.定 義
3.1 原子力安全
3.2 トップマネジメント
3.3 業 務
3.4 調 達
3.5 原子力施設
3.6 グレード分け
3.7 試 験
3.8 直接原因分析
3.9 根本原因分析
3.10 直接要因
3.11 人的過誤
3.12 人的要因
3.13 組織要因
3.14 利害関係者
3.15 アセスメント
3.16 リーダー
3.17 リーダーシップ
3.18 安全文化
4.原子力安全のためのマネジメントシステム
4.1 一般要求事項
4.2 文書化に関する要求事項
4.2.1 一 般
4.2.2 品質マニュアル
4.2.3 文書管理
4.2.4 記録の管理
5.経営者の責任
5.1 経営者のコミットメント
5.2 原子力安全の重視
5.3 品質方針
5.4 計 画
5.4.1 品質目標
5.4.2 マネジメントシステムの計画
5.5 責任,権限及びコミュニケーション
5.5.1 責任及び権限
5.5.2 管理責任者
5.5.3プロセス責任者
5.5.4内部コミュニケーション
5.6 マネジメントレビュー
5.6.1 一 般
5.6.2 マネジメントレビューへのインプット
5.6.3 マネジメントレビューからのアウトプット
6.資源の運用管理
6.1 資源の提供
6.2 人的資源
6.2.1 一 般
6.2.2 力量,教育・訓練及び認識
6.3 インフラストラクチャー
6.4 作業環境
7.業務の計画及び実施
7.1 業務の計画
7.2 業務・原子力施設に対する要求事項に関するプロセス
7.2.1 業務・原子力施設に対する要求事項の明確化
7.2.2 業務・原子力施設に対する要求事項のレビュー
7.2.3 利害関係者とのコミュニケーション
7.3 設計・開発
7.3.1 設計・開発の計画
7.3.2 設計・開発へのインプット
7.3.3 設計・開発からのアウトプット
7.3.4 設計・開発のレビュー
7.3.5 設計・開発の検証
7.3.6 設計・開発の妥当性確認
7.3.7 設計・開発の変更管理
7.4 調 達
7.4.1 調達プロセス
7.4.2 調達要求事項
7.4.3 調達製品の検証
7.5 業務の実施
7.5.1 業務の実施の管理
7.5.2 業務の実施に関するプロセスの妥当性確認
7.5.3 識別及びトレーサビリティ
7.5.4 組織外の所有物
7.5.5 調達製品の保存
7.6 監視機器及び測定機器の管理
8.評価及び改善
8.1 一 般
8.2 監視及び測定
8.2.1 原子力安全の達成
8.2.2 内部監査
8.2.3 プロセスの監視及び測定
8.2.4 検査及び試験
8.3 不適合管理
8.4 データの分析
8.5 改 善
8.5.1 継続的改善
8.5.2 是正処置
8.5.3 予防処置
9.安全文化及び安全のためのリーダーシップ
9.1 安全のためのリーダーシップ
9.2 安全文化の継続的改善
9.3 安全文化及び安全のためのリーダーシップに対するアセスメント
解説Ⅰ 各条項に対応する解説
0.序 論
[解説0.1]
1.目 的
[解説1]
2.適用範囲
[解説2]
3.定 義
[解説3.1]
[解説3.2]
[解説3.7]
[解説3.9]
[解説3.14]
[解説3.15]
[解説3.16]
[解説3.17]
[解説3.18]
4.原子力安全のためのマネジメントシステム
[解説4.1-1]
[解説4.1-2]
[解説4.1-3]
[解説4.1-4]
[解説4.1-5]
[解説4.1-6]
[解説4.2.1]
[解説4.2.2]
[解説4.2.3]
[解説4.2.4]
5.経営者の責任
[解説5.1-1]
[解説5.1-2]
[解説5.1-3]
[解説5.3]
[解説5.4.1]
[解説5.5.1]
[解説5.5.2]
[解説5.5.3]
[解説5.6.2-1]
[解説5.6.2-2]
[解説5.6.2-3]
6.資源の運用管理
[解説6.1]
[解説6.2.2-1]
[解説6.2.2-2]
[解説6.3]
7.業務の計画及び実施
[解説7.1]
[解説7.2.1-1]
[解説7.2.1-2]
[解説7.3.1]
[解説7.3.2]
[解説7.3.3-1]
[解説7.3.3-2]
[解説7.3.4]
[解説7.3.5-1]
[解説7.3.5-2]
[解説7.3.6]
[解説7.3.7]
[解説7.4.1]
[解説7.4.2-1]
[解説7.4.2-2]
[解説7.4.2-3]
[解説7.4.2-4]
[解説7.4.2-5]
[解説7.4.2-6]
[解説7.5.1-1]
[解説7.5.1-2]
[解説7.5.1-3]
[解説7.5.2]
[解説7.5.3]
[解説7.5.4]
[解説7.6]
8.評価及び改善
[解説8.2.1]
[解説8.2.2-1]
[解説8.2.2-2]
[解説8.2.2-3]
[解説8.2.4-1]
[解説8.2.4-2]
[解説8.2.4-3]
[解説8.4-1]
[解説8.4-2]
[解説8.5.1]
[解説8.5.2-1]
[解説8.5.2-2]
[解説8.5.3-1]
[解説8.5.3-2]
9.安全文化及び安全のためのリーダーシップ
[解説9]
[解説9.1-1]
[解説9.1-2]
[解説9.1-3]
[解説9.1-4]
[解説9.1-5]
[解説9.1-6]
[解説9.1-7]
[解説9.1-8]
[解説9.1-9]
[解説9.2-1]
[解説9.2-2]
[解説9.2-3]
[解説9.2-4]
[解説9.2-5]
[解説9.2-6]
[解説9.3-1]
[解説9.3-2]
[解説9.3-3]
[解説9.3-4]
解説Ⅱ 本規程策定に関する考え方
解説Ⅲ 安全文化及び安全のためのリーダーシップ
国が品質保証に関する要求事項を定め,事業者はこれを満たすシステムを構築し,運用・改善を図るという枠組みの下,JEAC4111-2003を制定してから10年が経過する。この間,2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故(以下,福島第一原発事故という)を経験し,我々は衝撃を受けるとともに,何故この事故を防げなかったかについて深く反省することを迫られた。
今回の福島第一原発事故に関する様々な事故調査結果において,マネジメントシステムに起因する要因は抽出されていないが,品質保証に携わる者としての反省をこめて以下のような改定を行った。
(1) 従来,JEAC4111の位置づけは「法律に基づき規定される原子力発電所の保安活動における品質保証に関する要求事項を具現化したもの」であったが,これを「国際標準を参照し,事業者の行う原子力安全の達成・維持・向上をより強固にするための活動に必要な事項を規定したもの」に変更した。即ち,規制への適合だけではなく,原子力安全の達成のためにやるべきことは何かを定めている。
(2) 2009年版では(あるいは旧版では),ISO9001をカスタマイズするにあたり,「製品」の記載は,一部を除き,ほとんど「業務」に置き換えていた。しかし,製品は,「原子力安全に係わる業務」と「原子力安全に係わる原子力施設」から生み出される「原子力安全」であり,「原子力安全に係わる業務」及び「原子力安全に係わる原子力施設」も製品を構成する。従って原子力安全の取組の明確化を図る観点から,要求事項の中で「製品」を「業務」に置き換えた箇所について,内容に応じて「業務・原子力施設」に修正した。
(3) IAEAの品質保証に関する基準は,従来より,JEAC4111の基礎として位置づけ,グレード分けの適用,設計検証の第三者による実施及び検査員の独立性の程度を定めることなどを,要求事項として取り入れてきた。しかしながら福島第一原発事故に対する反省として,世界最高水準の安全を達成するために,「最新の国際標準を参照する」ことが課題となった。これを踏まえて,IAEAで現在検討中のGSR Part2「Leadership and Management for Safety」(DS456)の要求事項の基本的趣旨は全て反映することとした。特に「安全のためのリーダーシップ」,「安全文化の継続的改善」及び「安全文化及び安全のためのリーダーシップに対するアセスメント」については,事業者の自律的活動により強固なものとなることから,これらを推奨事項として第9章にまとめた。
(4) 国の品質保証に関する技術基準「実用発電用原子炉に係る発電用原子炉設置者の設計及び工事に係る品質管理の方法及び検査のための技術基準に関する規則」(以下技術基準という)が平成25年6月28日に公布され,同年7月8日に施行されたことを受けて,これを本規程の要求事項に反映した。また技術基準は,建設段階を含む設計及び工事への適用であること,及びこの技術基準と同じ要求が核燃料加工施設,再処理施設,廃棄物埋設施設,廃棄物管理施設などへも適用されることを受けて,本規程の「2章 適用範囲」にこれらを追加した。
(5) JEAC4111は,従来より,安全文化を基礎とした「安全のための品質マネジメント」であるが,今回の改訂により,マネジメントシステムを通して安全文化を醸成するとともに,マネジメントシステムに安全のためのリーダーシップを織り込んで運用することとなった。これにともない,その意図を明確にする観点から,本規程の名称を「原子力安全のためのマネジメントシステム規程」とした。
事業者の原子力施設の運営に関しては,原子力安全の向上ばかりではなく,電気を生み出す信頼性向上なども含めて様々な側面がある。本規程は,その中の原子力安全に焦点を当てた要求事項に関して「What to do」を規定したものであり,「How to do」については事業者の取り組みに任されている。原子力安全を達成するために,いかに実効的に「How to do」を構築し,実施し,改善すればよいか,についての基本的考え方は,本規程の「解説」に示した。
従来より,法令に適合するシステム構築だけを全てとするのではなく,できあがった形をいかに実効的な取り組みにするかが問われてきたが,福島第一原発事故を経験し,トップマネジメントを含めて関係する全員が改めてこれを認識する必要がある。本規程に対する取り組みを通して,原子力安全がさらに強固なものになっていくことを望むものである。
平成25年12月
原子力規格委員会
品質保証分科会
分科会長 棟近雅彦