本追補版は,JEAG 4121-2015の「7.4.2 調達要求事項」 (1) c)
項に基づき,品質マネジメントシステムに関する要求事項を定める際のガイドラインとして,提供することを目的としています。
今回の改定では,附属書-1「品質マネジメントシステムに関する標準品質保証仕様書」について,そのベースとしているJIS Q
9001の2015年版が発行されたことに伴い, 最新知見を踏まえて,見直しました。
0. 位置付けと構成
0.1 要求事項
0.2 注記
0.3 解説
1. 適用範囲
1.1 一般
1.2 適用
2. 参考文献
3. 用語及び定義
3.1 原子力安全
3.2 グレード分け
4. 組織の状況
4.1 組織及びその状況の理解
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
5. リーダーシップ
5.1 リーダーシップ及びコミットメント
5.1.1 一般
5.1.2 顧客重視
5.2 方針
5.2.1 品質方針の確立
5.2.2 品質方針の伝達
5.3 組織の役割,責任及び権限
6. 計画
6.1 リスク及び機会への取組み
6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定
6.3 変更の計画
7. 支援
7.1 資源
7.1.1 一般
7.1.2 人々
7.1.3 インフラストラクチャ
7.1.4 プロセスの運用に関する環境
7.1.5 監視及び測定のための資源
7.1.5.1一般
7.1.5.2測定のトレーサビリティ
7.1.6 組織の知識
7.2 力量
7.3 認識
7.4 コミュニケーション
7.5 文書化した情報
7.5.1 一般
7.5.2 作成及び更新
7.5.3 文書化した情報の管理
8. 運用
8.1 運用の計画及び管理
8.2 製品及び役務に関する要求事項
8.2.1 顧客とのコミュニケーション
8.2.2 製品及び役務に関する要求事項の明確化
8.2.3 製品及び役務に関する要求事項のレビュー
8.2.4 製品及び役務に関する要求事項の変更
8.3 製品及び役務の設計・開発
8.3.1 一般
8.3.2 設計・開発の計画
8.3.3 設計・開発へのインプット
8.3.4 設計・開発の管理
8.3.4.1 設計・開発のレビュー
8.3.4.2 設計・開発の検証
8.3.4.3 設計・開発の妥当性確認
8.3.5 設計・開発からのアウトプット
8.3.6 設計・開発の変更
8.4 外部から提供されるプロセス,製品及び役務の管理
8.4.1 一般
8.4.2 管理の方式及び程度
8.4.3 外部提供者に対する情報
8.5 製造及び役務提供
8.5.1 製造及び役務提供の管理
8.5.1.1 製造及び役務提供に関するプロセスの妥当性確認
8.5.2 識別及びトレーサビリティ
8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物
8.5.4 保存
8.5.5 引渡し後の活動
8.5.6 変更の管理
8.6 製品及び役務のリリース
8.7 不適合なアウトプットの管理
9. パフォーマンス評価
9.1 監視,測定,分析及び評価
9.1.1 一般
9.1.2 顧客満足
9.1.3 分析及び評価
9.2 内部監査
9.3 マネジメントレビュー
9.3.1 一般
9.3.2 マネジメントレビューへのインプット
9.3.3 マネジメントレビューからのアウトプット
10. 改善
10.1 一般
10.2 不適合及び是正処置
10.3 継続的改善
解説 各条項に対応する解説
JEAG 4121-2015[2018年追補版]は,旧版JIS Q 9001:2008を基本とするJEAG
4121-2015「附属書-1」の改定版として,JIS Q
9001:2015に基づく標準的な品質マネジメントシステムに関する要求事項を提示するものである。
本追補版は,品質マネジメントシステムを構築している供給者にとって,原子力特有の追加要求事項を反映する際に,それぞれの組織や適用箇所に柔軟に対応できることを心がけて,解説や例示を増やしており,事業者にとっても,調達製品及び役務の重要度を踏まえ,必要な事項を要求できるようにしている。
事業者に適用されるJEAC4111の改定作業としては,福島第一原子力発電所における事故の教訓を反映したIAEAの安全基準であるGSR Part
2が発行され,原子力規制委員会において検査制度見直しと合わせて技術基準が改定されることを踏まえ,また,汎用規格であるJIS Q
9001:2015は原子力界の実状に合わせ新知見として活用しつつ作業を進めているところである。
JEAC
4111の要求事項が供給者に直接適用されることはないが,JIS Q
9001:2015が組織の事業環境の変化を反映した要求事項として定められていることを踏まえ,福島第一原子力発電所における事故後の原子力を取り巻く厳しい環境の中で,事業者と供給者が一体となった原子力安全を確保するための取り組みが求められている。
調達管理は,事業者が品質マネジメントシステムを推進し,より安全で信頼性のある発電所とするために必須の重要な活動である。各組織は,本追補版を活用し,調達管理におけるより有効な活動を展開し,原子力安全の達成に向けて取り組むことを期待している。
平成30年9月
品質保証分科会 分科会長
中條 武志