放射性物質の外部への漏えいに対する障壁となる原子炉格納容器バウンダリ(JEAC4602で規定する「原子炉格納容器バウンダリ」をいう。)の漏えい試験について,試験種別,試験方法,試験圧力,合格基準,試験スケジュール等を規定するとともに試験標準方案を示している。
1. 総 則
1.1 本規程の目的
1.2 適用範囲
1.3 記載範囲
1.4 用語の定義
2. 原子炉格納容器漏えい率試験
2.1 試験目的
2.2 試験プログラムの策定
2.3 計器
2.4 A種試験
2.4.1 試験の実施時期
2.4.2 試験前の必要条件
2.4.3 試験方法
2.4.4 判定基準
2.4.5 不適合時の措置
2.4.6 試験頻度
2.5 B種試験
2.5.1 試験の実施時期
2.5.2 試験対象
2.5.3 試験方法
2.5.4 判定基準
2.5.5 不適合時の措置
2.5.6 試験頻度
2.6 C種試験
2.6.1 試験の実施時期
2.6.2 試験対象
2.6.3 試験方法
2.6.4 判定基準
2.6.5 不適合時の措置
2.6.6 試験頻度
2.7 特殊な試験に対する要求事項
2.7.1 大きな改修及び取替
2.7.2 複数容器の原子炉格納容器
2.7.3 多重漏えい障壁の原子炉格納容器
2.8 試験前の健全性確認及び試験の記録
2.8.1 試験前の原子炉格納容器の健全性確認
2.8.2 試験結果の記録
3. 原子炉格納容器全体漏えい率試験(A種試験)標準方案
3.1 絶対圧力法標準方案
3.1.1 目的
3.1.2 漏えい率の計算法
3.1.3 計器計画
3.1.4 漏えい率の測定
3.1.5 試験記録標準様式
3.2 基準容器法標準方案
3.2.1 目的
3.2.2 漏えい率の計算法
3.2.3 計器計画
3.2.4 漏えい率の測定
3.2.5 試験記録標準様式
4. 原子炉格納容器局部漏えい率試験(B種及びC種試験)標準方案
4.1 目的
4.2 漏えい率の計算法
4.2.1 記号
4.2.2 漏えい率計算式
4.3 計器計画
4.3.1 圧力降下法標準方案を用いる場合における基本的検討確認事項
4.3.2 試験用計器及び測定精度
4.4 漏えい率の測定
4.4.1 試験範囲
4.4.2 試験条件
4.4.3 試験方法
4.4.4 データ処理
4.5 試験記録標準様式
解説
本規程は,軽水型原子力発電所における原子炉格納容器漏えい率の測定試験に関する基本的事項を規定するため,主として米国のNuclear Regulatory Commissionの規制を参考とし,1970年に原子炉格納容器全体漏えい率試験を主体とした初版が制定され,1973年には,当時の我が国の実状を勘案して,改定第1版が制定されました。
その後,原子力発電所の数が増加し,原子炉格納容器漏えい率試験の良好な実績を踏まえ,試験スケジュールや圧力降下法による原子炉格納容器局部漏えい率試験標準方案等について見直し,1990年に改定第2版を制定し,また日本電気協会電気技術規程JEAC4602「原子炉冷却材圧力バウンダリ,原子炉格納容器バウンダリの範囲を定める規程」が1992年に改定されたことを契機に,蓄積された試験実績を踏まえ,原子力発電所における原子炉格納容器漏えい率試験の実状調査を基に,1994年に改定第3版を制定しました。更に2004年には,試験に適用する原子炉格納容器バウンダリの適正化と,局部漏えい率試験の判定基準について新たな知見の反映を図り,改定第4版を制定しました。
日本電気協会では,本規程が技術基準の解説に引用されていることから策定された「JEAC4203-2004技術評価書」(平成18年4月26日)(原子炉安全小委員会)において付された3つの課題等を踏まえ,慎重な審議を重ね,本規程の改定を行いました。
主要な改定の事項は,以下に示すとおりです。
1. 格納容器構成要素の劣化要因による漏えい率影響を考慮し,今後想定されうる定期事業者検査間隔にも対応できる漏えい率試験の判定基準の見直し。
2. 上記判定基準の見直しに当たって,2004年版で改定した試験に適用する原子炉格納容器バウンダリの適正化では考慮しなかった単一故障の影響を改めて考慮。
3. 設計圧力における漏えい率の経年変化の確認に鑑みたPWRプラントのA種試験における設計圧力試験の定期的な実施を明確化。
平成20年2月
原子力規格委員会
構造分科会
分科会長 小林英男