本技術規程は,維持規格に用いる超音波探傷試験についてその要領を示すものである。
また,本規程は,パルス反射法を使用する超音波探傷試験について定めたものである。その他の超音波探傷試験技術は,その方法がパルス反射法により得られるものと同等以上の試験結果が得られるものであれば,前記方法に代えて使用してもよいこととする。
適用範囲は軽水型原子力発電所用機器のうち,クラス1機器及びクラス2機器の供用期間中検査(供用前検査を含む)に適用する。
第1章 総 則
1000 総 則
1100 目 的
1200 適用範囲
1300 用語及び略語の定義並びに関連規格
1400 記 号
第2章 一般事項
2000 一般事項
2100 試験部に対する要求事項
2200 試験評価員及び試験員
2300 使用機材
2400 超音波探傷装置の校正
2500 時間軸及び基準感度の調整
2600 探触子の走査
2700 記録要領及びきず寸法測定
2800 試験記録
第3章 容器の超音波探傷試験要領
3000 容器の超音波探傷試験要領
3100 適用範囲
3200 容器の突合せ溶接継手
3300 胴とフランジとの溶接継手
3400 管台内面の丸みの部分
3500 フランジネジ穴のネジ部
3600 ボ ル ト
第4章 配管の超音波探傷試験要領
4000 配管の超音波探傷試験要領
4100 適用範囲
4200 配管の突合せ溶接継手
4300 容器管台とセーフエンドとの異種金属突合せ溶接継手
4400 オーステナイト系ステンレス鋳鋼配管突合せ溶接継手
4500 オーステナイト系ステンレス鋼溶接金属部を透過させる探傷
解 説
第1章 総則
第2章 一般事項
第3章 容器の超音波探傷試験要領
第4章 配管の超音波探傷試験要領
附属書A きず高さ測定要領
附属書B 超音波自動探傷装置への要求性能
附属書C フェーズドアレイ技術を用いたきず検出手法
附属書D 炉心シュラウドに対する目視試験の代替試験として適用する
超音波探傷試験の要領
電気技術規程「軽水型原子力発電所用機器の供用期間中検査における超音波探傷試験規程」(JEAC4207)は,主に欠陥の検出に関する具体的な事項をとりまとめたものとして,1986年に初版を電気技術指針(JEAG4207)として制定して以降,順次改定を重ね,近年では,2004年版で欠陥サイジング手法,及び試験員・試験評価員の資格,教育訓練の要求事項を取り込みました。2008年版では,オーステナイト系ステンレス鋼配管突合せ溶接継手の亀裂の高さ(深さ)測定に関するPD(Performance Demonstration:性能実証)制度の開始に合わせた内容とするとともに,国のいくつかの実証試験で得られた技術的知見を反映しました。この際,JEAG4207が実質的に規程の位置付けで運用されている実績を踏まえ,JEAC4207-2008として発行しました。その後2012年には,附属書B「超音波自動探傷装置への要求性能」,附属書C「フェーズドアレイ技術を用いた欠陥検出方法」,附属書D「炉心シュラウドに対する目視試験の代替試験として適用する超音波探傷試験の要領」をJEAC4207-2008の追補版として発行しております。2016年版では,2012年追補版の取込みに加えて,オーステナイト系ステンレス鋼溶接金属部を透過させる探傷方法を追加しました。
今回の改定では,より使いやすい規程を目指すと共に最新技術の取込みを図り,以下の改定を行いました。
1) 一般的な解説や引用可能なバックデータの省略
現在では一般的な知見となり,不要と思われる解説や容易に引用可能なバックデータを省略し,全体のボリュームを抑えることで規程内容を分かり易くしました。
2) 最新知見の反映
従来法をフェーズドアレイ法で置き換える場合の解釈や,半自動探傷装置の定義などを明確化しました。
3)記載の明確化
JIS等で用いられている用語は,その定義を尊重した記載に改めました。また,本規程を引用している日本機械学会「発電用原子力設備規格 維持規格」との記載内容や範囲について整合させると共に,2016年版に対する原子力規制庁の技術評価結果を反映しました。
原子力発電設備の超音波探傷試験による欠陥検出及びサイジングに関する規程は本書のみであり,今後とも,本規程を利用される皆様のご助言も得ながら,改定を重ねてまいります。
2022年5月
原子力規格委員会
構造分科会
分科会長 望 月 正 人