本規程は,燃料集合体の健全性及び炉心の安全性に係る検査,点検の対象範囲,方法及び判定基準を規定している。
法制度の見直しにより,使用前検査について国の検査から事業者が主体として実施する使用前事業者検査に変更となったこと,BWRのチャンネルボックスが実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則に基づく「設計及び工事の計画の認可」の対象になったこと等を反映して改定している。
また,定期事業者検査を主体にした規格から,原子力発電所の燃料管理業務から新たに検査,点検項目を抽出して,製造時,輸送時,燃料装荷時及び運転時の確認事項を明確にしている。
第1章 規程の目的,適用範囲
1.1 規程の目的
1.2 適用範囲
1.3 関連法規等
1.4 用語の定義
1.4.1 共通
1.4.2 BWR
1.4.3 PWR
第2章 炉心・燃料に係る検査,点検の考え方と要求
2.1 炉心・燃料に係る設計と検査,点検
2.2 炉心・燃料に係る検査,点検による安全性確認
2.3 炉心・燃料に係る検査,点検に対する要求事項
第3章 炉心・燃料に係る検査,点検の実施方法
3.1 沸騰水型原子力発電所(BWR)の検査,点検
3.1.1 新チャンネルボックス製造時検査
3.1.2 新燃料受入点検
3.1.3 新チャンネルボックス受入点検
3.1.4 チャンネルボックス据付検査
3.1.5 燃料集合体外観検査
3.1.6 チャンネルボックス外観検査
3.1.7 燃料集合体炉内配置検査
3.1.8 原子炉停止余裕検査
3.1.9 燃料集合体シッピング漏えい調査
3.2 加圧水型原子力発電所(PWR)の検査,点検
3.2.1 新内挿物製造時検査
3.2.2 新燃料受入点検
3.2.3 新内挿物受入点検
3.2.4 新燃料装荷前点検
3.2.5 新内挿物装荷前点検
3.2.6 燃料集合体外観検査
3.2.7 燃料集合体炉内配置検査
3.2.8 原子炉停止余裕検査
3.2.9 炉物理検査
3.2.10 制御棒クラスタ検査
3.2.11 燃料集合体シッピング漏えい調査
附属書A(参考)燃料管理の諸活動における検査,点検項目の選定
附属書B(参考)BWRとPWRの主な相違点の整理
附属書C(参考)炉心・燃料に係る検査に関係する過去の不適合,劣化の兆候等の事例
附属書D(参考)チャンネルボックスに係る過去の不適合,劣化の兆候等の事例について
附属書E(参考)原子炉停止余裕検査(BWR)手順例
附属書F(参考)原子炉停止余裕検査(PWR)手順例
軽水型原子力発電所においては,原子炉の供用期間にわたって,燃料集合体の健全性及び炉心の安全性を確保するため,燃料集合体及び炉心の設計を評価,確認するとともに,適宜,検査,点検,監視等により燃料集合体の健全性及び炉心の安全性を確認している。
初版版においては,燃料の取替を伴う定期検査時に実施する炉心・燃料に係る定期事業者検査を対象に検査規程を制定した。
2020年4月に施行された新検査制度においては,原子炉設置者の一義的な責任のもとに使用前事業者検査が導入された。そこで,改定版の作成に当たっては,原子炉設置者の燃料管理の業務の中から,検査,点検の項目を抽出し,新たに次の検査,点検項目を追加した。
・新チャンネルボックス製造時検査(BWR)
・新内挿物製造時検査(PWR)
・新燃料受入点検(BWR,PWR)
・新チャンネルボックス受入点検(BWR)
・新内挿物受入点検(PWR)
・新燃料装荷前点検(PWR)
・チャンネルボックス 据付検査(BWR)
・新内挿物装荷前点検(PWR)
・チャンネルボックス外観検査(BWR)
なお,新燃料製造時に係る検査(BWR,PWR)については,別の規程「発電用原子燃料の製造に係る燃料体検査規程(JEAC4214-2020)」に従い実施するため,本規程の範囲外とした。
また,本規程の名称については,改定前に「原子力発電所における」と場所を特定する表現であったが,新チャンネルボックスの製造工場又は新内挿物の製造工場での検査が含まれるため,改定後は「原子力発電所の」に変更した。
本規程制定に当たり絶大なご尽力を頂いた検討会,分科会の委員各位及び事務局を始めとした関係各位に深く感謝するとともに,原子力発電所の炉心・燃料に係る検査,点検の実施時に本規程が活用され,原子力発電所の安全性と信頼性の確保に寄与することを期待する。
2020年12月
原子力規格委員会
原子燃料分科会
分科会長 山本章夫