本指針は,原子力発電所用機器の渦電流探傷試験における探傷面開口欠陥の検出及び長さ測定の要領を示すものです。
本指針の適用範囲は,これまではオーステナイト系ステンレス鋼及び高ニッケル合金の母材部及び溶接部の上置プローブを用いた渦電流探傷試験とされていましたが,低合金鋼母材部の上置プローブを用いた渦電流探傷試験についての知見が得られたことから,その知見を反映し,低合金鋼母材部の上置プローブを用いた渦電流探傷試験を適用範囲に加えました。また,低合金鋼母材部の上置プローブを用いた渦電流探傷試験要領を附属書に加えました。
第1章 総 則
第1章 総 則
1000 総 則
1100 目 的
1200 適用範囲
1300 用語及び略語
1400 関連規格
第2章 試験要領
2000 一般事項
2010 事前確認
2100 試験部に対する要求事項
2110 試験範囲の識別
2120 試験部の表面状態
2200 試験員及び試験評価員
2300 使用機材
2310 探傷器
2320 プローブ
2330 対比試験片
2340 記録・解析装置
2400 探傷器の校正及びプローブの性能確認
2410 探傷器
2420 プローブ
2500 基準感度,位相角の設定及び確認
2510 設定及び確認の時期
2520 設定及び確認の方法
2600 試験周波数
2700 プローブの走査
2710 走査方法
2720 走査範囲
第3章 欠陥検出及び欠陥長さ測定要領
3000 欠陥検出及び欠陥長さ測定要領
3100 欠陥の疑いのある指示部の抽出
3200 欠陥判定
3300 欠陥長さ測定
第4章 記録要領
4000 記録要領
4100 記録手順
4200 記録内容
解 説
第1章 総 則
(解説-1100-1)附属書に規定されていない手法の取扱い
(解説-1100-2)欠陥
(解説-1200-1)オーステナイト系ステンレス鋼及び高ニッケル合金の溶接部
(解説-1200-2)対象となる欠陥の深さ
(解説-1200-3)適用
(解説-1300-1)各種振幅チャート及びリサージュ波形
第2章 試験要領
(解説-2010-1)事前確認方法
(解説-2120-1)試験部の表面状態
(解説-2200-1)試験員及び試験評価員への要求
(解説-2200-2)試験員及び試験評価員の実施可能な業務
(解説-2200-3)同等の技術レベルを有する者
(解説-2330-1)対比試験片の形状
(解説-2330-2)対比試験片の材料
(解説-2330-3)対比試験片の表面条件
(解説-2330-4)対比試験片の寸法,人工きずの位置
(解説-2340-1)サンプリングレート
(解説-2420-1)プローブの性能確認
(解説-2500-1)基準感度,位相角の設定及び確認の目的
(解説-2520-1)基準感度及び位相角の設定
(解説-2520-2)基準感度,位相角の設定及び確認時のプローブの使用環境
(解説-2520-3)試験中の位相角の変動幅
(解説-2600-1)試験周波数
(解説-2710-1)探傷感度
(解説-2710-2)密着状態
(解説-2720-1)走査範囲
第3章 欠陥検出及び欠陥長さ測定要領
(解説-3100-1)欠陥の疑いのある指示部の抽出
(解説-3100-2)その他の抽出基準を適用する場合
(解説-3200-1)その他の渦電流による手法
(解説-3300-1)欠陥長さ測定
(解説-3300-2)複数欠陥の長さ測定
第4章 記録要領
(解説-4200-1)データの保管
(解説-4200-2)記録等に残すプローブの仕様
(解説-4200-3)記録等に残す対比試験片の仕様
(解説-4200-4)複数の隣接欠陥を一つの欠陥とみなした場合に残す記録
附 属 書 A
クロスコイル(自己誘導形自己比較方式,相互誘導形自己比較方式
及び標準比較方式)の渦電流探傷試験要領
A-1000 総則
A-2000 試験要領
A-2100 使用機材
A-2200 探傷器の校正及びプローブの性能確認
A-2300 基準感度,位相角の設定及び確認
A-2400 試験周波数
A-2500 プローブの走査
A-2510 プローブの走査方法
A-2511 プローブの走査方向
A-2512 プローブの走査ステップ
A-2513 プローブの押付け
A-2520 プローブの走査範囲
A-3000 欠陥検出及び欠陥長さ測定要領
A-3100 欠陥の疑いのある指示部の抽出
A-3200 欠陥判定
A-3300 欠陥長さ測定
A-4000 記録要領
A-4100 記録手順
A-4200 記録内容
附属書A 解説
(解説-A-1000-1)クロスコイル
(解説-A-2300-1)基準感度,位相角の設定及び確認
(解説-A-2400-1)試験周波数
(解説-A-2511-1)プローブの走査方向
(解説-A-2512-1)プローブの走査ステップ
(解説-A-3100-1)欠陥の疑いのある指示部の抽出
(解説-A-3200-1)欠陥判定
(解説-A-3300-1)欠陥長さ測定
附 属 書 B
パンケーキコイル(自己誘導形標準比較方式)の
渦電流探傷試験要領
B-1000 総則
B-2000 試験要領
B-2100 使用機材
B-2200 探傷器の校正及びプローブの性能確認
B-2300 基準感度,位相角の設定及び確認
B-2400 試験周波数
B-2500 プローブの走査
B-2510 プローブの走査方法
B-2511 プローブの走査方向
B-2512 プローブの走査ステップ
B-2513 プローブの押付け
B-2520 プローブの走査範囲
B-3000 欠陥検出及び欠陥長さ測定要領
B-3100 欠陥の疑いのある指示部の抽出
B-3200 欠陥判定
B-3300 欠陥長さ測定
B-4000 記録要領
B-4100 記録手順
B-4200 記録内容
附属書B 解説
(解説-B-1000-1)パンケーキコイル(自己誘導形標準比較方式)
(解説-B-2300-1)基準感度,位相角の設定及び確認
(解説-B-2400-1)試験周波数
(解説-B-2511-1)プローブの走査方向
(解説-B-2512-1)プローブの走査ステップ
(解説-B-3100-1)欠陥の疑いのある指示部の抽出
(解説-B-3200-1)欠陥判定
(解説-B-3300-1)欠陥長さ測定
附 属 書 C
パンケーキコイル(相互誘導形標準比較方式)の
渦電流探傷試験要領
C-1000 総則
C-2000 試験要領
C-2100 使用機材
C-2200 探傷器の校正及びプローブの性能確認
C-2300 基準感度,位相角の設定及び確認
C-2400 試験周波数
C-2500 プローブの走査
C-2510 プローブの走査方法
C-2511 プローブの走査方向
C-2512 プローブの走査ステップ
C-2513 プローブの押付け
C-2520 プローブの走査範囲
C-2530 検出モード
C-3000 欠陥検出及び欠陥長さ測定要領
C-3100 欠陥の疑いのある指示部の抽出
C-3200 欠陥判定
C-3300 欠陥長さ測定
C-4000 記録要領
C-4100 記録手順
C-4200 記録内容
附属書C 解説
(解説-C-1000-1)パンケーキコイル(相互誘導形標準比較方式)
(解説-C-2300-1)基準感度,位相角の設定及び確認
(解説-C-2400-1)試験周波数
(解説-C-2511-1)プローブの走査方向
(解説-C-2512-1)単一プローブの走査ステップ
(解説-C-2513-1)プローブの押付け
(解説-C-2530-1)V検出モード及びH検出モードの適用
(解説-C-3100-1)欠陥の疑いのある指示部の抽出
(解説-C-3200-1)欠陥判定
(解説-C-3300-1)欠陥長さ測定
本指針は,原子力発電所用機器を対象とした渦電流探傷試験の要領について規定したもので,上置プローブを用いて探傷面開口欠陥の検出と欠陥長さ測定を適切に行うために制定したものです。
本指針は本章と附属書から構成し,本章には総則,試験要領,欠陥検出及び長さ測定要領及び記録要領の各章で個別手法の特徴に依らない一般的要求事項について記載し,附属書には手法毎の特徴を考慮した具体的な要求事項及び注意すべき事項について記載しています。また,本章及び附属書の解説には本文の解釈や具体例などを記載しています。
これまでの指針は、オーステナイト系ステンレス鋼及び高ニッケル合金の母材部及び溶接部を適用範囲としておりました。
今回の改定では,低合金鋼母材部の上置プローブを用いた渦電流探傷試験についての知見が得られたことから,その知見を反映し,低合金鋼母材部の上置プローブを用いた渦電流探傷試験を適用範囲に加えました。
また,低合金鋼母材部の上置プローブを用いた渦電流探傷試験要領を附属書に加えました。
原子力発電設備に対するこれら上置プローブを用いた欠陥の検出と長さ測定技術に係わる規格化は,今後本技術の活用に伴って,非破壊試験の技術及び信頼性が更なる発展を遂げることを期待するものであり,それに付随して原子力発電所の安全性の確保と信頼性がより一層向上することを願うものであります。
平成30年9月
原子力規格委員会
構造分科会
分科会長 笠原 直人