日本電気協会

原子力規格委員会

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JEAC4601-2021
原子力発電所耐震設計技術規程

概 要

 「原子力発電所の耐震設計に関する事項のうち,基本事項,耐震重要度分類,建物・構築物の耐震設計,機器・配管系の耐震設計、並びに屋外重要土木構造物の耐震設計に関する事項をまとめたものである。本技術規程と「原子力発電所耐震設計技術指針」JEAG4601-2021を併用する場合には,両者の記載事項の関係について十分な吟味が必要である。

目 次

第1章 基本事項
1.1 適用
 1.1.1 適用範囲
 1.1.2 改定
 1.1.3 適用する年版
 1.1.4 関連する規格等
1.2 耐震設計の基本方針
 1.2.1 耐震設計の目的
 1.2.2 基本的考え方
 1.2.3 耐震設計に適用する地震動
1.3 用語と略称
 1.3.1 用語
 1.3.2 略称
1.4 単位系
第2章 耐震重要度分類
2.1 機能上の分類
2.2 耐震クラス別施設
2.3 耐震重要度分類の適用
2.4 耐震重要度と地震力
附属書 2.1 各設備の具体的な耐震重要度分類
附属書 2.2 地震時又は地震後に動的機能が要求される設備

第3章 建物・構築物の耐震設計
3.1 基本事項
 3.1.1 適用範囲
 3.1.2 準用する法令・規準類
 3.1.3 用語の定義
 3.1.4 耐震設計の基本方針
3.2 材料,材料定数及び材料の許容応力度
 3.2.1 材料
 3.2.2 材料定数
 3.2.3 材料の許容応力度等
3.3 荷重,荷重の組合せ及び許容限界
 3.3.1 荷重
 3.3.2 設計に用いる地震力
 3.3.3 荷重の組合せと許容限界
3.4 応力解析及び断面設計
 3.4.1 応力解析
 3.4.2 断面設計
3.5 地震応答解析
 3.5.1 地震応答解析の基本事項
   3.5.2 地震応答解析に用いる地盤の物性値
   3.5.3 地盤の地震応答解析
   3.5.4 建物・構築物のモデル化
   3.5.5 地盤-建物・構築物動的相互作用の評価法
 3.5.6 建物・構築物の復元力特性の評価法
3.6 耐震安全性の確認
 3.6.1 基準地震動Ssに対する検討
   3.6.2 弾性設計用地震動Sd及び静的地震力に対する検討
   3.6.3 保有水平耐力の検討
   3.6.4 機能維持及び波及的影響防止の検討
  参考文献
附属書(規定) 3.1 地下壁に作用する土圧の評価法
附属書(規定) 3.2 プールの動水圧の評価法
附属書(規定) 3.3 静的地震力の評価法
附属書(規定) 3.4 地盤ばねモデル
附属書(規定) 3.5 離散系モデル
附属書(規定) 3.6 基礎浮き上がりの評価法
附属書(規定) 3.7 鉄筋コンクリート造耐震壁の復元力特性の評価法
附属書(規定) 3.8 鉄骨架構の復元力特性の評価法
参考資料 3.1 温度荷重に対する設計の考え方
参考資料 3.2 弾性波試験と地盤の弾性係数について
参考資料 3.3 地盤の地震応答解析における等価線形解析について
参考資料 3.4 建物・構築物の鉛直地震応答解析モデルについて
参考資料 3.5 基礎浮き上がり解析手法について
参考資料 3.6 埋め込みを考慮した基礎浮き上がり評価モデルについて
参考資料 3.7 安全機能限界と弾性限界に対応する入力荷重の比率の試算例
参考資料 3.8 床スラブの復元力特性について
参考資料 3.9 屋根トラスの耐震性評価モデルについて
参考資料 3.10 鉄塔支持型排気筒の耐震評価

第4章 機器・配管系の耐震設計
4.1 基本事項
 4.1.1 適用範囲
 4.1.2 準用する基準類
 4.1.3 機器・配管系の耐震設計の基本方針
 4.1.4 用語と略称
 4.1.5 一般事項
4.2 荷重の組合せと許容限界
 4.2.1 基本方針
 4.2.2 荷重の組合せ
 4.2.3 地震力が加わる場合の許容応力
 4.2.4 耐震設計に適用する材料強度
4.3 設計用地震力
 4.3.1 耐震重要度分類と設計用地震力
 4.3.2 水平地震力と鉛直地震力による荷重の組合せ法
4.4 地震応答解析
 4.4.1 一般事項
 4.4.2 地震応答解析法
 4.4.3 床応答スペクトル
 4.4.4 地震応答解析モデル
 4.4.5 設計用減衰定数
4.5 強度評価
 4.5.1 一般事項
 4.5.2 強度評価法
4.6 動的機器の地震時機能維持評価
 4.6.1 適用範囲
 4.6.2 地震時機能維持が要求される機器
 4.6.3 機能維持評価法
4.7 電気計装機器の耐震設計
 4.7.1 適用範囲
 4.7.2 強度評価
 4.7.3 地震時機能維持が要求される電気計装機器
 4.7.4 機能維持評価法
4.8 機器・配管系支持構造物のエネルギ吸収を利用した耐震設計
 4.8.1 一般事項
 4.8.2 用語
 4.8.3 配管系に架構レストレイントの弾塑性を利用した耐震設計法
 4.8.4 配管系に制振サポートを用いた場合の耐震設計法
 4.8.5 機器に制振サポートを用いた場合の耐震設計法
 4.8.6 機器・配管系に粘性ダンパを用いた場合の耐震設計法
附属書(規定)4.1 機器・配管系の耐震設計に適用する許容応力の値
附属書(規定)4.2 機器・配管系の静的地震力
附属書(規定)4.3 機器・配管系の耐震強度評価法
附属書(規定)4.4 動的機器の地震時機能維持評価法
附属書(規定)4.5 電気計装機器の地震時機能維持評価法
附属書(規定)4.6 配管系に架構レストレイントの弾塑性を利用した耐震設計法
附属書(規定)4.7 配管系に制振サポートを用いた場合の耐震設計法
附属書(規定)4.8 機器に制振サポートを用いた場合の耐震設計法
附属書(規定)4.9 機器・配管系に粘性ダンパを用いた場合の耐震設計法
附属書(規定)4.A クラス2,3及びその他の容器,ポンプ,ファン等の耐震設計法
参考文献
参考資料4.1 機器・配管系の耐震設計について
参考資料4.2 許容応力比較(日本機械学会 設計・建設規格-JEAC4601)
参考資料4.3 平底円筒形貯水タンクの地震時座屈基準
参考資料4.4 地震荷重を受ける管の許容応力
参考資料4.5 地震時における配管内の圧力変動
参考資料4.6 機器・配管系のアンカー部の許容基準について
参考資料4.7 Bクラスの機器・配管系の鉛直地震動に対する共振影響
参考資料4.8 水平地震動と鉛直地震動による荷重の組合せ方法
参考資料4.9 鉛直方向の設計用床応答スペクトルの拡幅率
参考資料4.10 水平及び鉛直方向の設計用減衰定数
参考資料4.11 動的機器の地震時機能維持評価法の改定
参考資料4.12 配管系に架構レストレイントの弾塑性を利用した耐震設計法
参考資料4.13 配管系に制振サポートを用いた場合の耐震設計法
参考資料4.14 機器に制振サポートを用いた場合の耐震設計法
参考資料4.15 フリースタンディング方式使用済燃料ラックの耐震設計法
参考資料4.16 鋼製原子炉格納容器のFEM 解析による地震時座屈評価法
参考資料4.17 時刻歴応答解析において不確かさを考慮する方法
参考資料4.18 原子炉本体の基礎(BWR)の復元力特性を考慮した地震応答解析法
参考資料4.19 機器・配管系に粘性ダンパを用いた場合の耐震設計法

第5章 屋外重要土木構造物他の耐震設計
5.1 基本事項
 5.1.1 適用範囲
 5.1.2 準用する規準類
5.2 屋外重要土木構造物の耐震設計の手順
5.3 屋外重要土木構造物の設計条件
 5.3.1 設計用地震力
 5.3.2 考慮すべき荷重
 5.3.3 材料特性
5.4 屋外重要土木構造物基礎地盤及び周辺地盤の検討
 5.4.1 基礎地盤の支持性能
 5.4.2 基礎地盤及び周辺地盤のすべり
 5.4.3 基礎地盤及び周辺地盤の液状化
5.5 屋外重要土木構造物の詳細設計に用いる解析手法
 5.5.1 解析手法
 5.5.2 動的解析
 5.5.3 液状化の検討
5.6 屋外重要土木構造物の安全性評価
 5.6.1 安全性評価の考え方
 5.6.2 許容応力度法による照査
 5.6.3 限界状態設計法による照査
5.7 津波防護施設の耐震設計
 5.7.1 適用範囲
 5.7.2 準用する規準類
 5.7.3 津波防護施設の設計条件
 5.7.4 津波防護施設の基礎地盤及び周辺地盤の検討
 5.7.5 津波防護施設の解析手法
 5.7.6 津波防護施設の安全性評価
附属書(規定)5.1 曲げ耐力の評価式
附属書(規定)5.2 せん断耐力の評価式
附属書(規定)5.3 限界層間変形角の評価式
附属書(規定)5.A 地盤の流動影響の検討
参考文献
参考資料 5.1 全応力解析の適用性について
参考資料 5.2 有効応力解析の適用性について
参考資料 5.3 水平地震動と鉛直地震動の重ね合わせ

巻頭言

 我が国の原子力発電所施設の耐震設計に関しては,その考え方を含めて実験・試験等の結果及び関連する技術がまとめられ,本協会の「原子力発電所耐震設計指針」(JEAG4601-1970)として初刊本が出版された。その後,「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(昭和56年7月20日 原子力安全委員会決定)」(以下,耐震審査指針(1981)と略す)を踏まえて,「原子力発電所耐震設計技術指針 重要度分類・許容応力編」(JEAG4601・補-1984),「原子力発電所耐震設計技術指針」(JEAG4601-1987),「原子力発電所耐震設計技術指針 追補版」(JEAG4601-1991追補版)が新たな知見を踏まえて発刊された。
 耐震審査指針(1981)は,1995年兵庫県南部地震の発震並びに同地震により励起された地震動による土木・建築物等の構築物の損傷・被害の分析・解析等に基づき,耐震設計に関連する技術(以下,耐震技術)に係る当時得られていた新たな知見を取り入れた,「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(平成18年9月19日 原子力安全委員会決定)」(以下,耐震審査指針(2006)と略す)として改定された。この耐震審査指針改定を受け,「原子力発電所耐震設計指針」(JEAG4601)の改定が着手された。この改定作業を進めるにあたり,基準地震動の策定並びに地質調査に関する事項については関連する分野で得られている知見を取り入れて,「原子力発電所耐震設計技術指針 基準地震動策定・地質調査編」(JEAG4601-2007)としてそれまでのJEAG4601より分離して,先行発刊された。その後,「基礎地盤及び周辺斜面の安定性評価」と「津波水位評価」をこれに加えて,「原子力発電所耐震設計技術指針」(JEAG4601-2008)として別冊として改定発刊された。
 一方,JEAG4601・補-1984,JEAG4601-1987並びに,JEAG4601-1991追補版に含まれる施設の耐震設計に係る部分について一体化を図るとともに,当時得られていた最新の知見を取り入れて耐震審査指針(2006)に適合するように見直しを行った。その際,耐震技術に係る事項を取りまとめ,新しい体系として“設計技術指針”を“設計技術規程”に衣替えをした「原子力発電所耐震設計技術規程」(JEAC4601-2008)を制定した。この時点において,耐震技術のうち,設計において入力条件となる地震・地震動,斜面崩壊,津波等の自然現象に係り定める事項を指針(JEAG)として,設計において設計条件・過程を定める事項を規程(JEAC)として整理し,それぞれに分けてまとめたことになる。
 JEAC4601-2008,JEAG4601-2008はその後,2007年新潟県中越沖地震で得られた知見,研究で得られた設計技術の知見等,さらには2011年東北地方太平洋沖地震における東京電力㈱福島第一原子力発電所の事故を受けて原子力規制委員会改正による「原子炉等規制法」等(以下,新規制基準と略す)の内容を踏まえ,「原子力発電所耐震設計技術規程」(JEAC4601-2015),「原子力発電所耐震設計技術指針」(JEAG4601-2015)として改定された。また,新規制基準では深層防護を基本とし,共通要因による安全機能の喪失を防止する観点から,シビアアクシデントを規制対象とすることになったことを受けて「原子力発電所耐震設計技術指針 重大事故等対処施設編(基本方針)」(JEAG4601-2015[2016年追補版])が新たに制定された。
 今回改定の「原子力発電所耐震設計技術規程」(JEAC4601-2021)では,基本的な体系はJEAC4601-2015の構成方針を引き継ぎつつ,前回改定以降に得られた研究成果等の新たな知見として“建物構築物の3次元FEMによるモデル化”に関する規定の追加や,“弁の動的機能維持評価法”に関する内容の充実を取り入れている。また,例えば水平2方向と鉛直方向の地震動の組合せに係る考え方・手順に関して追加記述を行う等の新規制基準に係る適合性審査の内容を踏まえた事項への対応を図っている。  耐震設計に係る研究・開発は広く各方面で精力的に進められており,また新規制基準に係る適合性審査は現時点において継続して実施されている状況下で,新たな知見は現在も日々積み重ねられているところである。これらの新知見については引き続き収集に努め,本規程の更なる高度化を図って行く所存である。
 なお,本規程は時期を揃えて改定される基準地震動などを規定する「原子力発電所耐震設計技術指針」(JEAG4601-2021),「原子力発電所耐震設計技術指針 重大事故等対処施設編(基本方針)」(JEAG4601-2015[2016年追補版])と一体で運用されるものであり,それぞれの規程(JEAC)及び指針(JEAG)の記載事項の相互関係について十分な理解が必要である。断るまでもなく,耐震設計・耐津波設計等の適切性の適否は,実際に地震・津波等に遭遇してはじめて明確になる事項であろう。本技術規程及び技術指針は,自然事象としての地震に対する基本的な設計の手法を提示するものであり,その解釈,運用については本書使用者の格段の配慮を期待するものである。
 最後に,本規程の策定にあたり,検討及び審議に参加しご協力いただいた関係各委員の方々及び関係諸機関の方々,そして特にご尽力いただいた原案作成者,検討会幹事の方々に厚くお礼申し上げる。

2021年3月

原子力規格委員会
耐震設計分科会
分科会長 久保 哲夫

改定履歴
制  定
平成20年12月19日
第1回改正
平成27年6月23日
第2回改正
2021年3月24日
        
公衆審査
JEAC4601-2021
期間:2021年1月25日
    〜2021年3月24日
結果:資料請求者0名
意見送付者0名
質疑・意見対応
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