安全施設へ電力を供給するための保安電源設備及び重大事故等対処設備を作動させるために必要な電源設備の設計要件を規定している。
1. 目的
2. 適用範囲
3. 関連法規,規格
4. 用語の定義
5. 設計
5.1 電源系統
5.2 外部電源系
5.3 非常用所内電源系
5.4 重大事故等対処設備電源系
5.5 保護装置
5.6 計装
5.7 制御装置
解説
原子力発電所の保安を確保するために必要な電源設備の設計に当たっては,原子炉の安全停止並びに原子力発電所で想定される事故の発生防止及び拡大防止に資するために万全の配慮が必要です。保安電源設備の設計については,「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」(平成2年8月30日原子力安全委員会決定,一部改訂平成13年3月29日)において,電気系統への要求事項が示され,また,「発電用軽水型原子炉施設の安全機能の重要度分類に関する審査指針」(平成2年8月30日原子力安全委員会決定,一部改訂平成21年3月9日)において非常用電源系から供給されるべき安全設備が示されております。
(一社)日本電気協会原子力規格委員会では,原子力発電所の保安電源設備に対して,実際の設計を実施する上で考慮すべき要求事項を明確化することを目的に,昭和46年に「原子力発電所保安電源設備の設計指針」を制定し,昭和60年11月に第1回改定,平成4年5月に第2回改定,平成22年1月に第3回改定を実施いたしました。
平成23年に発生した東京電力(株)福島第一原子力発電所事故を踏まえ,各機関において事故調査報告書が作成されました。また,事故の教訓を踏まえ規制基準についても大幅な見直しが行われました。見直された規制の中には,津波などの共通要因による電気設備の損傷の防止や,重大事故に対処する設備への電源供給も含まれています。
本規程の改定にあたっては,上記規制基準の見直し,各機関の調査報告書,海外動向,その他運転経験等について調査を行い,その結果を踏まえ,要求事項の明確化,記載の適正化などを実施することと致しました。
今後も継続的かつ詳細・広範に運転経験の収集に努め,保安電源設備の設計に反映すべき事項を詳細に検討し,トラブル未然防止・事故への進展抑制に資する規格にすべく改善を図ってまいります。
本規程の改定に当たって,電力会社,メーカ並びに委員の方々に絶大なご助力を賜りました。ここに関係各位に深く感謝いたします。
平成31年1月
原子力規格委員会
安全設計分科会
分科会長 古田一雄