軽水型原子炉施設の破損,故障等に起因して原子炉内の燃料の破損等による多量の放射性物質の放散の可能性がある場合に,これらを抑制又は防止するための機能を備えるよう設計された工学的安全施設,及びその関連施設についての範囲及び分類を規定するとともに参考としてPWR,BWR,ABWRの代表プラントの具体例を示している。
1.適用範囲
2.工学的安全施設及びその関連施設の分類
2.1 工学的安全施設
2.2 工学的安全施設の関連施設
解 説
具体例
原子力発電所では,原子炉施設の万一の破損,故障等に起因した放射性物質の放散を抑制又は防止するため,工学的安全施設を備えています。
我が国の原子力発電所における工学的安全施設に関する技術基準は「発電用原子力設備に関する技術基準」(通商産業省令第62号)に定められています。
本規程の内容は,昭和48年4月に電気技術指針として初版が発行され,多数の方々に利用されました。その後国の指針等が整備され,「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」(以下「安全設計審査指針」という。)の制定などを反映して昭和61年4月に本規程の第1回の改訂を行いました。次いで平成2年8月の原子力安全委員会による「安全設計審査指針」の改訂並びに「発電用軽水型原子炉施設の安全機能の重要度分類に関する審査指針」の制定などを反映して,平成4年5月に本規程の第2回の改訂版が発行されました。
(社)日本電気協会では,平成12年11月に原子力規格の制定に当たる委員会名称を従来の原子力専門部会から原子力規格委員会に改称するとともに,その後,原子力規格委員会では,国の規制の動向,最近の技術進歩や運転経験の蓄積など,原子力を取り巻く情勢の変化に規格類が適切に対応できるように,従来に発行した規程についても改訂の必要性の有無を毎年検討するようにしております。
本規程は平成4年5月の改定以来約12年を経過していることから,平成13年3月29日の「安全設計審査指針」の一部改訂を踏まえ,原子力規格委員会の上記の方針に沿って安全設計分科会で慎重な審議を重ね,内容の見直しを行いました。
主要な改訂事項は以下のとおりです。
(1)規程の名称を従来の電気技術規程「原子力発電所工学的安全施設及びその関連施設の定義規程」(JEAC4605)から,規程の内容に即した名称として電気技術規程「原子力発電所工学的安全施設及びその関連施設の範囲を定める規程」(JEAC4605)に変更した。
(2)第2回の改訂後の12年間に新たに運転が開始され,建設が進んでいるABWRの設備についても規程に含めた。
(3)他の規程や規格との整合性を図るために規程の構成や記載内容を見直した。
今回の改訂に当たって,関係官庁,電力会社,メーカ並びに委員の方々に絶大なご助力を賜りました。ここに関係各位に深く感謝する次第であります。
平成16年12月
原子力規格委員会
安全設計分科会
分科会長 吉川榮和