乾式キャスクを用いる原子力発電所の使用済燃料中間貯蔵建屋の基礎構造を対象とし,セメント固化剤による改良地盤を用いる場合の直接基礎及び杭基礎の設計の考え方について示している。
第1篇 総 則
第1章 適用範囲
第2章 用語の定義と略称
2.1 用語の定義
2.2 略称
第3章 中間貯蔵建屋の耐震設計上の重要度分類
第4章 基礎構造の設計で用いる荷重と荷重組合せ
第5章 地震動の評価
5.1 基礎地震動Ss
5.2 支持地盤における地震動
第6章 表層地盤の応答評価と液状化判定
6.1 表層地盤の応答評価
6.2 液状化判定
第1篇 参考文献
附属書4.1 静的地震動の算定法
附属書6.1 液状化判定
参考資料
第2編 杭基礎の設計
第1章 基本事項
1.1 適用範囲
1.2 用語の定義
1.3 記号の定義
1.4 設計の基本方針
1.4.1 設計の考え方と手順
1.4.2 杭の設計で用いる荷重と荷重組合せ
1.4.3 長期荷重に対する設計の基本方針
1.4.4 短期荷重に対する設計の基本方針
1.4.5 Ss地震時荷重に対する検討の基本方針
第2章 杭基礎の設計
2.1 許容限界
2.1.1 杭の鉛直支持力と引抜き抵抗力
2.1.2 使用材料の許容応力度
2.1.3 杭体の復元力特性と終局強度
2.1.4 Ss地震時荷重に対する杭基礎の許容限界
2.2 長期荷重に対する杭基礎の設計
2.2.1 杭体の設計
2.2.2 支持力の検討
2.3 短期荷重に対する杭基礎の設計
2.3.1 静的地震力により杭体に生じる応力の算定
2.3.2 杭体の設計
2.3.3 支持力の検討
2.4 Ss地震時荷重に対する杭基礎の検討
2.4.1 液状化に対する基本的な考え方
2.4.2 液状化防止の検討
2.4.3 杭基礎に作用する地震力と杭応力の算定
2.4.4 杭体の検討
2.4.5 支持力の検討
第2編 参考文献
附属書2.1 杭の鉛直支持力の評価法
附属書2.2 杭の引抜き抵抗力の評価法
附属書2.3 杭体の復元力特性と終局強度の評価法
附属書2.4 静的地震力により杭体に生じる応力の算定に用いる地盤ばねの評価法
附属書2.5 地盤の地震応答解析
附属書2.6 地盤−杭基礎−建屋連成系の地震応答解析モデル
附属書2.7 杭周地盤ばねの評価法
附属書2.8 杭周地盤ばねの非線形特性
参考資料
第3篇 改良地盤の設計
第1章 基本事項
1.1 適用範囲
1.2 用語の定義
1.3 記号の定義
1.4 設計の基本方針
1.4.1 設計の考え方と手順
1.4.2 改良地盤の設計で用いる荷重と荷重組合せ
1.4.3 長期荷重に対する設計の基本方針
1.4.4 短期荷重に対する設計の基本方針
1.4.5 Ss地震時荷重に対する検討の基本方針
第2章 改良地盤の設計
2.1 許容応力度及び強度と安全率
2.1.1 改良体の設計基準強度と設計圧縮強度
2.1.2 改良体の許容応力度及びSs地震時荷重に対する検討で用いる強度と安全率
2.1.3 地盤の支持力と安全率
2.2 長期荷重に対する改良地盤の設計
2.2.1 設計で考慮する荷重
2.2.2 改良地盤の設計
2.2.3 支持力の検討
2.3 短期荷重に対する改良地盤の設計
2.3.1 設計で考慮する荷重
2.3.2 改良地盤の設計
2.3.3 支持力の検討
2.4 Ss地震時荷重に対する改良地盤の検討
2.4.1 液状化に対する基本的な考え方
2.4.2 改良地盤に生じる応力の算定
2.4.3 改良地盤の検討
2.4.4 支持力の検討
第3編 参考文献
附属書2.1 支持地盤の極限鉛直支持力度の評価法
附属書2.2 支持地盤の長期荷重による沈下量の評価法
附属書2.3 短期荷重時の地震時土圧及び動水圧の算定法
附属書2.4 改良地盤の接地圧の算定法
参考資料
本技術規程は,金属製の乾式キャスクを用いる原子力発電所の使用済燃料中間貯蔵建屋の基礎構造を対象とし,セメント系固化材による改良地盤を用いる場合の直接基礎,及び杭基礎の設計について規定し,JEAC4616-2009(以下,「JEAC4616」という。)として制定したものである。
「金属製乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵施設のための安全審査指針(平成18年9月19日原子力安全委員会決定)」によれば「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」に基づいて策定した「基準地震動Ssによる地震力」に対して施設全体の基本的安全機能を確認することが必要であり,中間貯蔵建屋の基礎については,本技術規程に沿って設計することによりその機能が担保されることになる。
乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵建屋の建屋形式は,乾式キャスクの搬送方式と貯蔵方式の組合せなどから幾つかの構造が考えられるが,いずれの場合も上部構造は従来の耐震設計の考え方及び構造で設計が可能であるため「原子力発電所耐震設計技術規程JEAC4601-2008」(以下,「JEAC4601」という。)を適用することを原則としている。
本技術規程の対象とする施設は原子力発電所と独立して立地される使用済燃料中間貯蔵施設であり,乾式キャスクを用いる使用済燃料中間貯蔵建屋を対象としているが,本技術規程の技術的な内容は,建物の重量,剛性等の構造特性が同等である他の施設の基礎構造の設計において参考にすることが出来る。
(社)日本電気協会・耐震設計分科会は,平成11年度にまとめた「原子力施設基礎構造技術に関する調査報告書」の技術内容を平成13年度から検討し,杭基礎の設計についての結果を「乾式キャスク貯蔵建屋基礎構造の設計に関する技術指針JEAG4616-2003」(以下,「JEAG4616」という。)として発刊した。平成18年の「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(平成18年9月19日原子力安全委員会決定)」の改訂に伴い,このたび,その反映と改良地盤の設計を追加し,技術規程(JEAC4616)として取りまとめた。しかし,対象とする金属製乾式キャスクの基本的安全機能の考え方や表層地盤の液状化に対する考え方など基本的な事項に関しては,JEAG4616の考え方を踏襲している。また,本技術規程では杭の種類地盤改良の工法・形式について対象を限定しているが,これは対象以外の工法・形式を否定しているものではなく,今後の改定において信頼性の確認されたものから順次適用範囲を拡大していく方針である。
本技術規程の制定にあたって,検討及び審議に参加してご協力いただいた関係各委員の方々および関係諸機関の方々,そして特にご尽力いただいた原案作成者,検討会幹事の方々に厚くお礼申し上げる。
平成21年12月
原子力規格委員会
耐震設計分科会
分科会長 原 文雄