原子力発電所の耐震設計技術についてはJEAC4601「原子力発電所耐震設計技術規程」に建物・構築物に関する事項が定められているが,本技術規程は,鋼板コンクリート構造を用いた場合の地震応答解析,応力解析及び構造設計等の固有の設計法及び鋼板コンクリート構造の表面鋼板から機器を支持する場合の定着部評価法について規定している 。
第1章 基本事項
1.1 適用範囲と定義
1.1.1 適用範囲
1.1.2 SC構造建物・構築物の構造形式
1.2 準用する法令・規準類
1.3 用語の定義
1.4 基本方針
1.4.1 建物・構築物の耐震設計の基本方針
1.4.2 機器支持定着部の評価の基本方針
1.5 材料,材料定数及び材料の許容応力度
1.5.1 材料
1.5.2 材料定数
1.5.3 材料の許容応力度
1.6 荷重,荷重の組合せと許容限界
1.6.1 荷重
1.6.2 設計に用いる地震力
1.6.3 荷重の組合せと許容限界
第2章 建物・構築物の耐震設計
2.1 地震応答解析
2.1.1 地震応答解析の基本事項
2.1.2 建物・構築物のモデル化
2.1.3 SC構造耐震壁の復元力特性の評価法
2.2 応力解析と構造設計
2.2.1 構造設計の基本事項
2.2.1.1 鋼板の座屈防止
2.2.1.2 応力解析
2.2.2 断面検定
2.2.3 各部の設計
2.2.3.1 開口部の設計
2.2.3.2 耐震壁定着部の設計
2.2.3.3 接合部その他の設計
2.3 耐震安全性の確認
2.3.1 基準地震動Ssに対する検討
2.3.2 弾性設計用地震動Sd及び静的地震力に対する検討
2.3.3 保有水平耐力の検討
2.3.4 機能保持及び波及的影響防止の検討
附属書2.1 SC構造耐震壁の復元力特性の評価法
附属書2.2 SC構造耐震壁及びハーフSC構造床スラブの断面検定法
第3章 機器支持定着部の評価法
3.1 適用範囲
3.2 強度評価法
3.2.1 サポート定着部の許容限界
3.2.2 表面鋼板の強度から定まる許容支持荷重
3.2.2.1 許容支持荷重の設定の考え方
3.2.2.2 基準引張荷重及び基準曲げモーメントの算定
3.2.2.3 表面鋼板の強度から定まるサポート定着部の許容支持荷重
3.2.3 スタッドの強度から定まる許容支持荷重
3.2.3.1 スタッド1本の許容荷重
3.2.3.2 スタッドの強度から定まるサポート定着部の許容支持荷重
3.2.4 コンクリートの強度から定まる許容支持荷重
3.2.4.1 コンクリートの許容荷重
3.2.4.2 コンクリートの強度から定まるサポート定着部の許容支持荷重
3.3 剛性評価法
3.3.1 サポート定着部の剛性に対する要求
3.3.2 サポート定着部の剛性の算定
3.4 サポート定着部設計における留意事項
参考資料
参考資料2.1 耐火性能に関する実験的検討
参考資料2.2 建物・構築物の耐震設計に用いる記号
参考資料3.1 サポート荷重と表面鋼板の変形の関係
参考資料3.2 自由位置方式における表面鋼板の強度評価法及び剛性算定法
参考資料3.3 降伏線理論に基づく基準引張荷重及び基準曲げモーメント評価法
参考資料3.4 表面鋼板に発生する応力の制限
参考資料3.5 表面鋼板の疲労評価に用いる応力の算定
参考資料3.6 スタッド反力の算出
参考資料3.7 サポート定着部の剛性算定結果
参考資料3.8 躯体荷重によるサポート定着部剛性への影響
本技術規程は,鋼板コンクリート構造を用いた発電用原子炉施設における建物・構築物の耐震設計及び鋼板コンクリート構造の表面鋼板から機器を支持する場合の定着部評価法に関するものであり,主要構造部が耐震壁・床スラブ等で構成される発電用原子炉施設と類似の構造物についても適用可能である。
原子力発電所の耐震設計技術については,「原子力発電所耐震設計技術規程(JEAC4601-2008)」(以下,「JEAC4601」という。)に建物・構築物,機器・配管系及び屋外重要土木構造物の耐震設計に関する具体的要求事項が規定されている。また,「原子力発電所耐震設計技術指針(JEAG4601-2008)」(以下,「JEAG4601」という。)に基準地震動策定,地質・地盤調査,基礎地盤及び周辺斜面の安定性評価,並びに津波水位評価に関する事項が定められている。
本技術規程の適用にあたっては,JEAC4601及びJEAG4601との関連を正しく理解し適切に運用することが肝要である。
本技術規程は「鋼板コンクリート構造耐震設計技術指針建物・構築物編(JEAG4618-2005)」において定めた建物・構築物を対象として,JEAC4601では規定していない鋼板コンクリート構造を用いた場合の地震応答解析,応力解析及び構造設計等の固有の設計法に,鋼板コンクリート構造の表面鋼板から機器を支持する場合の定着部評価法を加え,技術指針から技術規程として制定するものであり,JEAC4601,JEAG4601とは別にJEAC4618-2009として扱うこととした。しかし,本構造を本技術規程の対象外である機械基礎等に使用する場合は,通常のコンクリート構造と同様にJEAC4601を適用してよい。
本技術規程の制定にあたって,検討及び審議に参加してご協力いただいた関係各委員の方々及び関係諸機関の方々,そして特にご尽力いただいた原案作成者,検討会幹事の方々に厚くお礼申し上げる。
平成21年8月
原子力規格委員会
耐震設計分科会
分科会長 原 文雄