日本電気協会

原子力規格委員会

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JEAG4803-1999
軽水型原子力発電所の運転保守指針

概 要

 電気事業者の自主保安管理体制の一層の充実を図るため、プラント設備の機能試験・作動試験要領作成,定期的な分解点検の間の健全性の確認,時間計画保全から状態監視保全への移行についての参考事項を定めている。具体的には、軽水型原子力発電所で使用される機器,系統の運転準備態勢を評価するための供用前及び供用期間中試験に対する要求を規定し、ポンプ,弁,スナッバ,ECCSの範囲で、試験項目,試験目的,試験対象機器,試験時期,合格基準,是正処置等について示している。

目 次

全体目次
パートA 一般要求事項
パートB ポンプの供用期間中試験
パートC 弁の供用期間中試験
パートD 動的レストレイント(スナッバ)の供用期間中試験
パートE 非常用炉心冷却系の性能試験

目  次
序  文
A-1000 総則
A-1100 目的
A-1200 適用
A-1210 適用範囲
A-1220 適用開始の時期
A-1300 所有者の責任
A-1400 文書作成及び保管
A-1500 設備上の制約
A-1600 用語の定義
A-2000 試験
A-2100 供用前試験
A-2110 供用前試験の目的
A-2120 供用前試験の対象機器
A-2130 供用前試験の実施時期
A-2200 供用期間中試験
A-2210 供用期間中試験の目的
A-2220 対象機器
A-2230 実施時期
A-2240 判定基準
A-2300 個々の試験
A-2400 本指針の各パートによらない試験
A-2410 各パートに規定されない試験
A-2420 各パートによらない試験
A-2430 各パートの一部使用
A-2500 試験が困難な場合
A-2600 測定機器及び試験装置
A-2610 計測範囲及び精度
A-2620 較正
A-2700 是正措置
A-2800 指針の改訂
A-2810 改訂時期
A-2820 改訂検討機関
A-2830 改訂の間の規定内容変更の扱い

解説
(解説-A-1100-1) 本指針の位置づけ
(解説-A-1210-1) 当面の適用範囲
(解説-A-2500-1) 測定機器の精度及び較正について

B-1000 総則
B-1100 目的
B-1200 適用範囲
B-1300 所有者の責任
B-1400 用語の定義
B-2000 一般要求事項
B-2100 試験設備等の準備
B-2200 系統上の要求事項との関連
B-2300 記録等の作成及び保管
B-2310 ポンプの記録作成及び保管
B-2320 供用期間中試験計画等の作成及び保管
B-2330 試験記録の作成及び保管
B-2340 是正処置記録の作成及び保管
B-2400 試験データ採取に関する要求事項
B-2500 ポンプの取替,補修及び保全に関する要求事項
B-2600 試験の代替
B-3000 参照値設定試験に対する要求事項
B-3100 試験時期
B-3200 試験パラメータ
B-3300 試験条件,測定点,及び参照値設定点
B-3400 参照値の決定
B-3500 参照値設定点の追加
B-3600 新参照値の設定
B-4000 供用期間中試験に対する要求事項
B-4100 供用期間中試験の種類と実施頻度
B-4200 試験実施時期等の特例
B-4300 試験要領
B-4310 グループA試験
B-4320 グループB試験
B-4330 包括試験
B-4400 供用期間中試験の判定
B-4500 判定結果に対する措置
B-4510 警戒範囲の場合
B-4520 要是正範囲の場合

表 B-3200-1 試験パラメータ
表 B-4100-1 供用期間中試験の実施頻度
表 B-4400-1 グループA試験の流力性能判定基準
表 B-4400-2 グループB試験の流力性能判定基準
表 B-4400-3 包括試験の流力性能判定基準
表 B-4400-4 グループA試験及び包括試験の振動判定基準
図 B-4400-1 振動限界

解説
(解説B-1100-1) 本パートの位置づけ
(解説B-1100-2) 参考文献
(解説B-1300)  対象ポンプの例とその区分
(解説B-3300-1) 包括試験を小流量点で行なう場合の誤差の補償方法
(解説B-3300-2) ポンプの振動測定値に外部要因の影響が含まれる場合の処置
(解説B-4400)  設計流量の20%より少ない流量で試験を行う場合の振動の絶対
判定基準
解説表-1 パートB適用対象ポンプの例とその区分

添付
添付-B-2400 試験データ採取に関する要求事項
1. 総則
1.1 適用範囲
1.2 用語の定義
2. 一般的要求事項
3. 圧力測定に対する要求事項
4. 振動測定に対する要求事項
5. 流量測定に対する要求事項
表2-1 計測器の必要精度
添付-B-2400の解説
(解説-2) 規定精度を満足しない計測器を使用する場合の措置
(解説-4) モータ台上部フランジで振動を測定する場合の判定基準

C-1000 総則
C-1100 目的
C-1200 適用
C-1210 適用範囲
C-1220 弁のカテゴリ分け
C-1230 カテゴリA及びカテゴリBの弁の細分類
C-1240 カテゴリCの弁の細分類
C-1250 複数のカテゴリにあてはまる弁の取扱い
C-1300 所有者の責任
C-1400 試験可能性に対する配慮
C-1500 用語の定義
C-2000 試験一般要求事項
C-2100 供用前試験に対する要求
C-2200 供用期間中試験に対する要求
C-2300 参照値の設定方法
C-2400 参照値の見直し
C-3000 供用期間中試験
C-3100 弁の位置確認試験
C-3110 カテゴリA及びカテゴリBの弁の位置確認試験
C-3120 カテゴリCの弁の位置確認試験
C-3200 作動試験
C-3210 カテゴリA及びカテゴリBの弁のストローク試験
C-3220 カテゴリC1の逆止弁の作動試験
C-3230 カテゴリC2の圧力逃し弁,安全弁の作動試験
C-3300 弁座漏えい試験
C-3310 カテゴリAの弁の弁座漏えい試験
C-3320 カテゴリC2の圧力逃し弁,安全弁の弁座漏えい試験
C-4000 合格基準と是正措置
C-4100 作動試験の合格基準と是正措置
C-4110 カテゴリA及びBの弁のストローク試験の合格基準と是正措置
C-4120 カテゴリC1の逆止弁の作動試験の合格基準と是正措置
C-4200 弁座漏えい試験の合格基準と是正措置
C-4210 カテゴリAの弁の弁座漏えい試験の合格基準と是正措置
C-4220 カテゴリC2の圧力逃し弁,安全弁の弁座漏えい試験の合格基準と是正措置
C-5000 記録と報告
C-5100 弁の記録
C-5200 試験計画
C-5300 試験記録
C-5400 是正措置の記録

添付-1 圧力逃し弁及び安全弁の供用期間中試験
付録-1 ラプチャディスク及び爆破弁の供用期間中試験
付録-2 電動弁の状態監視保全を行う場合の試験方法
付録-3 空気作動弁の試験パラメータの決定手順
付録-4 逆止弁の状態監視プログラム

D-1000 総則
D-1100 目的
D-1200 適用
D-1210 適用範囲
D-1220 適用時期
D-1300 所有者の責任
D-1400 用語の定義
D-2000 一般要求事項
D-2100 設計及び運転に関する情報
D-2200 記録及び報告書
D-2300 計測器及び試験装置
D-2310 計測範囲及び精度
D-2320 校正
D-2400 試験実施前の留意事項
D-2410 試験実施前の保守又は修理
D-2420 試験実施前の改造又は取替
D-2500 動的過渡事象等への対応
D-2600 不合格スナッバが取付けられていた機器・配管等に対する評価
D-3000 供用前試験
D-3100 目視試験
D-3110 目視試験の範囲
D-3120 目視試験に対する要求事項
D-3130 目視試験の再実施
D-3140 目視試験に対する判定基準
D-3200 熱移動量確認試験
D-3210 熱移動量確認試験に対する要求事項
D-3220 熱移動量確認試験に対する判定基準
D-3230 目視試験及び熱移動量確認試験結果に対する是正処置
D-3300 作動試験
D-3310 作動試験に対する要求事項
D-3320 作動試験項目及び内容
D-3330 作動試験の判定基準
D-3340 作動試験に対する是正処置
D-4000 供用期間中試験
D-4100 目視試験
D-4110 目視試験の範囲
D-4120 目視試験に対する要求事項
D-4130 目視試験に対する判定基準
D-4140 目視試験の実施時期
D-4141 1回目の目視試験の実施時期
D-4142 2回目以降の目視試験の実施時期
D-4150 目視試験に対する是正処置
D-4200 作動試験
D-4210 作動試験に対する要求事項
D-4220 作動試験項目及び内容
D-4230 作動試験の代替方法
D-4240 作動試験に対する判定基準
D-4241D 4220項で規定する作動試験の判定基準
D-4242D 4230項で規定する代替試験に対する判定基準
D-4250 作動試験の実施時期
D-4260 作動試験に対する是正処置

解説
(解説-D-1100-1)  参考文献
(解説-D-1100-2)  D-1100目的の関連事項
(解説-D-1210-1)  D-1210適用範囲の関連事項
(解説-D-1400-1)  D-1400用語の定義の関連事項
(解説-D-2300-1)  計測器の精度や校正
(解説-D-2410-1)  試験結果に影響を与える部品又は作業
(解説-D-3120-1)  D-3120目視試験に対する要求事項の関連事項
(解説-D-3130-1)  D-3130目視試」験の再実施の関連事項
(解説-D-3140-1)  D-3140目視試験に対する判定基準の関連事項
(解説-D-3320-1)  試験項目について
(解説-D-4100-1)  国内でのスナッバの供用期間中検査との関係
(解説-D-4120-1)  D-4120目視試験に対する要求事項の関連事項
(解説-D-4141-1)  D-41411回目の目視試験の実施時期の関連事項
(解説-D-4142-1)  D-41422回目以降の目視試験の実施時期の関連事項

添付
(添付-D-2100-1)  スナッバの代表的な設計及び作動情報(参考)
(添付-D-3120-1)  スナッバの目視試験のチェックリスト(参考)
(添付-D-3320-1)  作動試験に対する要求事項及び試験方法(参考)
付録
(付録-D-4142-1) 試験計画
(付録-D-4200-1) サービスライフの監視(推奨項目)
(付録-D-4200-1) 添付資料)サービスライフの監視方法

(図-D-1210-1) 対象スナッバの範囲

E-1000 総則
E-1100 目的
E-1200 適用
E-1210 適用範囲
E-1220 適用開始の時期
E-1300 所有者の責任
E-1400 用語の定義
E-2000 試験計画の作成
E-2100 系統性能に対する要求の抽出
E-2200 性能要求を検証する系統特性の抽出
E-2300 系統特性に係わる合格基準の作成
E-2400 試験方法の作成
E-3000 試験の実施
E-3100 試験条件
E-3200 供用前試験
E-3300 供用期間中試験
E-3310 試験間隔
E-4000 試験結果の評価
E-5000 是正措置
E-6000 文書作成及び保管

解説
(解説-E-1100-1)  指針の位置づけ
(解説-E-1100-2)  参考文献
(解説-E-2100-1)  ECCSの性能要求例
(解説-E-2200-1)  系統特性の例
(解説-E-2200-2)  系統特性として含まれる機器特性
(解説-E-2200-3)  系統特性として含まれる計装及び制御特性
(解説-E-2200-4)  ECCS論理の例
(解説-E-2300-1)  設計時と試験時の条件相違の例
(解説-E-2400-1)  試験の分割の例
(解説-E-3100-1)  試験実施による潜在的影響の例
(解説-E-3100-2)  試験条件として非現実的,または設備損傷の恐れがあるとみなされる例
(解説-E-3310-1)  ASME O&Mにおける試験間隔(参考)
(解説-E-3310-2)  系統性能要求を満たす能力に影響を与える変更の例
添付
(添付-EP) 非常用炉心冷却系の性能試験計画例(加圧水型原子力発電所)
(添付-EB) 非常用炉心冷却系の性能試験計画例(沸騰水型原子力発電所)

巻頭言

 原子力発電所の安全・安定運転を確保するために,原子力発電所における保全の方法に関して規定することは極めて重要なことであります。
 日本電気協会では,原子力発電所の自主保安体制の一層の充実を図るため,原子力専門部会(旧原子力専門委員会)の運転・保守分科会の下に保守管理作業会を設置して,プラント設備の機能試験及び作動試験の要領の作成,定期的な分解点検の間の健全性の確認,及び,時間計画保全から状態監視保全への移行にあたっての参考とするため,米国ASME OM(Operation and Maintenance)規格をもとに日本における機能試験及び状態監視保全について検討を進めることとし,慎重な審議を重ね本指針を作成しました。
 本指針は,ASME OM規格をもとに,日本のプラント設備及び日本の保全の現状を考慮して,機能試験及び状態監視保全に適用可能な例について明らかにしたものであり,今後,保全の内容を変化させ,自主保安を充実させるために有用であります。
 検討に際し,留意した事項は以下のとおりです。
(1)本指針の各機器パートには,適用可能な例として,状態監視及び機能試験に関する手順及び判定基準を示した。これらは基本的に分解点検を前提としていない。
(2)適用要否及び適用方法(部分適用,一部修正等を含む)については,使用者の判断に委ねるものとしている。
(3)ASME OM規格から学ぶべき点は反映しているが,一方で,現状の設備,現状の保全と整合性のある指針とすることを基本とし,代替可能な状態監視及び機能試験に関する手順及び判定基準をできる限り具体的に規定している。
 本指針は初版に当たりますが,今後本指針を利用される皆様の率直なご意見等により,さらによりよい指針とすることに努めたいと念じております。
 最後に,本指針を作成するに当たり絶大なご助言を賜りました学識経験者,委員の方々等関係各位に深く感謝する次第であります。

平成12年4月

原子力専門部会
運転・保守分科会
分科会長 武黒一郎

改定履歴
制  定
平成12年4月
正誤表
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