原子力発電所運転責任者実技試験に用いるシミュレータ規程は,シミュレータ訓練機関が運転責任者の適合性判定に使用する原子力発電所の中央制御室を模擬したフルスコープシミュレータに備えるべき要求事項を規定している。
1. 目的
2. 適用範囲
3. 用語の定義
4. シミュレータの要求事項
4.1 一般要件
4.2 シミュレーションの限界
4.3 プラント運転の模擬
4.4 シミュレータ設備の模擬範囲
4.5 インストラクタコンソールの機能
5. シミュレータの性能試験
5.1 シミュレータの動作試験
5.2 シミュレータのシナリオベース試験
5.3 シミュレータの炉心性能(特性)試験
6. シミュレータの維持管理
6.1 シミュレータの設計データ
6.2 シミュレーション範囲の見直し
6.3 ソフトウェア及びハードウェアの維持管理
7. 参考文献
附属書A(参考)シミュレータの設計及び性能試験を文書化する際のガイドライン
序文
A.1 シミュレータ情報
A.2 シミュレータの設計データ
A.3 シミュレータ関連の文書管理
A.4 シミュレータ試験関連の文書
附属書B(参考)マルファンクションの例
序文
B.1 マルファンクションの選考
附属書C(参考)シミュレータの動作試験の実施に関するガイドライン
序文
C.1 動作試験の種類
C.2 PWRシミュレータ動作試験要件
C.3 BWRシミュレータ動作試験要件
C.4 モデルプラントでの発生事象に対するシミュレータ検証
附属書D(参考)シミュレータ定常状態の許容誤差計算値の例
序文
D.1 圧力計での許容判定値計算例
D.2 温度計での許容判定値計算例
表1 シミュレータ計算値の許容判定値
附属書E(参考)シミュレータの基本機能及び維持管理について
序文
E.1 シミュレータの基本機能について
E.2 シミュレータの維持管理
解説
このたび,原子力規格委員会 運転・保守分科会は,原子力発電所運転責任者の判定に係るシミュレータの規格を新たに制定しました。
原子力発電所運転責任者実技試験に用いるシミュレータの指針は,「JEAG4802-2002 原子力発電所運転員の教育・訓練指針」において,米国のシミュレータ規格である ANSI/ANS-3.5 -1998 Nuclear Power Plant Simulators for Use In Operator Training and Examination を基に,国内の訓練用シミュレータの実情を考慮しつつ平成14年3月に改定しています。
しかし,JEAG4802-2002は改定から12年が経過して運用実績の反映が必要なこと,並びに2011年3月11日の東京電力(株)福島第一原子力発電所事故及びその後の原子炉等規制法の改正に伴い,炉心損傷事故に係るシミュレータ規格の充実・強化が必要であると判断しています。そこでJEAG4802-2002から独立した規程として,「JEAC4805-2014 原子力発電所運転責任者の判定に係るシミュレータ規程」を新たに制定することとしました。
各事業者がこの規程に則り,原子力発電所運転責任者実技試験を合理的に推進されることを期待します。
また,本規程の継続的な改善を図っていく必要があると認識しており,関係する皆様の率直なご意見・ご助言により,追補や改定に努めていきたいと考えております。
平成26年7月
原子力規格委員会
運転・保守分科会
分科会長 山口 彰